青色の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 04:30 UTC 版)
レイリー卿は空の青色の原因を、微粒子による光の散乱によるものと考えた。これをレイリー散乱と呼ぶ。また、レイリーは海の青も空の青の反射の結果であると考えた。チャンドラセカール・ラマンは水分子自体の光の散乱によるものであると推測し、1922年に論文を発表している。しかしながら、海の青色の原因の一部は空の色の反射も寄与し、レイリー散乱の寄与も完全には否定されていないものの、青色は主に水自身の光の吸収に起因するものであることが、現在では判明している。また、水自身の色の主因がレイリー散乱によるものと仮定すれば、夕焼けのように透過光では赤色に見えるはずであるが、水の透過光は青色である。 液体の水の色は、長いパイプに入れた純水に白色光源を当てることにより観察できる。このとき水はターコイズブルーを呈し、これは補色の関係にある赤色領域に弱い吸収帯が存在することに起因する。可視領域には 760nm(赤色)を中心にやや強い吸収帯、660nm(赤橙色)、605nm(橙色)を中心に弱い吸収帯が存在する。物質の色に深く関連する紫外可視吸収スペクトルは通常、分子軌道の電子遷移に由来するが、水分子の電子遷移エネルギーに相当する波長は200nm以下の紫外領域となり、電子遷移が色に寄与することは無い。 水の色は電子遷移ではなく、分子内の共有結合の伸縮振動、すなわち赤外吸収帯の倍音振動が可視領域に存在することに起因する。
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