タイプ1銅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:12 UTC 版)
「銅含有亜硝酸還元酵素」の記事における「タイプ1銅」の解説
構造的・分光学的特徴 タイプ1銅(Type 1 Cu, T1 Cu)は1つのシステインと2つのヒスチジンが平面3配位に近い形で配位し、さらに軸位の方向にメチオニンが4つ目のリガンドとして存在する。タイプ1銅は酸化状態(Cu2+)の紫外可視吸収スペクトルにおいて、システインのπ結合性のp軌道から銅のd軌道への電荷移動遷移(LMCT)に由来する強い吸収を600nm付近に持つため,その溶液は青色を呈し、別名ブルー銅とも呼ばれる。CuNIRの多くはさらに、システインのσ結合性のp軌道から銅のd軌道へのLMCTに由来する吸収も450nm付近に持つため、緑色から青緑色を呈する。タイプ1銅は還元状態(Cu+)ではLMCTが起こらず、溶液は無色になる。また、酸化状態でEPR活性であるが、不対電子がシステイン上に非局在化する傾向が強いため、銅の電子と核スピンの相互作用が弱められ、EPRによって測定される超微細結合定数は5-7mT程度と小さい。 機能 タイプ1銅はアズリンやシュードアズリンなどのブルー銅タンパク質や、シトクロムc551のようなc型ヘムタンパク質といった生理的電子供与体から電子を受け取る場であると考えられている。タイプ1銅のリガンドであるシステインと、タイプ2銅のリガンドの3つのヒスチジンの1つはアミノ酸配列上隣同士であり、タイプ1銅が受け取った電子はペプチド結合を含む11の共有結合を通して12~13Å離れたタイプ2銅へ伝達されると言われている。
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