さくたい‐かがく〔‐クワガク〕【錯体化学】
錯体化学
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錯体化学(さくたいかがく、英語:complex chemistry)とは金属錯体を研究する化学であり、無機化学の根幹領域のひとつでもある。 古くは錯塩化学(さくえんかがく、complex salt chemistry)や配位化学(はいいかがく、coordination chemistry)とも呼び表された。
- ^ A.E. Martell, R.M. Smith,"Critical Stability Constants," Plenum Press(1977)
錯体化学
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「テトラフェニルホウ酸ナトリウム」の記事における「錯体化学」の解説
テトラフェニルホウ酸は、非極性溶媒への溶解度の大きさと結晶化の容易さが期待できるため有機金属化学でよく研究されている。例えば、d8金属(ニッケル、パラジウム、白金)のペンタキス(亜リン酸トリメチル)錯体は、それらのテトラフェニルホウ酸塩から合成される。同様に、テトラフェニルホウ酸ナトリウムは二窒素を含む金属錯体の単離に使われる。テトラフェニルホウ酸ナトリウムは塩化物配位子をN2に置換する。このとき副生成物の塩化ナトリウムは沈殿するため容易に除去できる。 FeHCl ( diphosphine ) 2 + NaB ( C 6 H 5 ) 4 + N 2 ⟶ [ FeH ( N 2 ) ( diphosphine ) 2 ] [ B ( C 6 H 5 ) 4 ] + NaCl {\displaystyle {\ce {FeHCl({\mathit {diphosphine}})2\ +NaB(C6H5)4\ +N2->\ [FeH(N2)({\mathit {diphosphine}})2][B(C6H5)4]\ +NaCl}}}
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錯体化学
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白金やパラジウムなど、平面四配位型の錯体において、2個の同種の配位子が隣接しない配位点、すなわち対頂点どうしに位置するとき、その位置関係を「トランス」と称する。両錐型の錯体でも同様に、隣接しない2配位点(三方両錐型、八面体型の場合は対頂点)に同種の配位子が位置することを「トランス」と呼ぶ。ある配位子が、主に電気的な効果によりトランスの位置で起こる配位子交換反応の速度などへ影響を及ぼすことを「トランス効果」と呼ぶ。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 05:05 UTC 版)
白金やパラジウムなど、平面四配位型の錯体において、2個の同種の配位子が隣接する配位点、すなわち対頂点ではない配位点に位置するとき、その位置関係を「シス」と称する。シスプラチンはシス型の錯体の一例である。両錐型の錯体でも同様に、隣接する2配位点に同種の配位子が位置することを「シス」と呼ぶ。ある配位子が、主に立体的な効果によりシスの位置で起こる配位子交換反応の速度などへ影響を及ぼすことを「シス効果」と呼ぶ。 この項目は、化学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:化学/Portal:化学)。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:49 UTC 版)
銅は他の金属と同様に配位子との間で錯体を形成する。水溶液中において2価の銅は[Cu(H2O)6]2+の形で存在している。遷移金属の金属アコ錯体(英語版)に対する配位水の交換速度は最も早い。水酸化ナトリウム溶液を加えることで明青色の水酸化銅(II)が沈降する。 Cu 2 + + 2 OH − ⟶ Cu ( OH ) 2 {\displaystyle {\ce {Cu^2+ + 2OH^- -> Cu(OH)2}}} アンモニア水を加えた場合も同様に沈殿を生じるが、アンモニア水の添加量が過剰になるとテトラアンミン銅(II)イオンを形成して沈殿が再溶解する。 Cu ( H 2 O ) 4 ( OH ) 2 + 4 NH 3 ⟶ [ Cu ( H 2 O ) 2 ( NH 3 ) 4 ] 2 + + 2 H 2 O + 2 OH − {\displaystyle {\ce {Cu(H2O)4(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(H2O)2(NH3)4]^2+ + 2H2O + 2OH^-}}} 多くのオキソアニオンは銅イオンとの間に錯体を形成し、それには酢酸銅(II)や硝酸銅(II)などが含まれる。硫酸銅(II)は青色の結晶の5水和物を形成し、それは研究室において最も一般的な銅化合物である。それはボルドー液と呼ばれる殺菌剤として用いられる。 [ Cu ( NH 3 ) 4 ( H 2 O ) 2 ] 2 + {\displaystyle {\ce {\ [Cu(NH3)4(H2O)2]^2+}}} 錯体の球棒モデル。銅(II)に典型的な八面体形分子構造を示す。 複数のヒドロキシ基を含むポリオールは一般的に2価の銅塩と相互作用を示す。例えば、銅塩は還元糖の検出に用いられる。特に、ベネジクト液およびフェーリング液を用いた糖の検出は、青色の2価の銅が赤色の1価の酸化銅(I)に還元される際の色変化によって識別される。シュバイツァー試薬およびエチレンジアミンや他のアミン類との錯体はセルロースを分解する。アミノ酸は2価の銅との間で非常に安定なキレート錯体を形成する。銅イオンに関する多くの湿式反応が存在し、例えば銅イオンを含む溶液にフェロシアン化カリウムを加えることで茶色の銅(II)塩の沈殿が生じる反応がある。
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錯体化学
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「tert-ブチルイソシアニド」の記事における「錯体化学」の解説
シアニドの炭素上に非共有電子対があるため錯体の配位子になることができ、特に酸化数が0、+1、+2の金属と錯体を作る。tert-ブチルイソシアニドは、Pd(I)のような稀な酸化数で金属を安定化させることが分かっている。 Pd(dba)2 + PdCl2(C6H5CN)2 + 4 t-BuNC → [(t-BuNC)2PdCl]2 + 2 dba + 2 C6H5CN tert-ブチルイソシアニドは大きなtert-ブチル基を有するにもかかわらず、八配位のホモレプティック錯体を作ることができる。これは中心金属とtert-ブチル基との距離が直線的なM-C-≡N+-C結合により長くなるためである。
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錯体化学
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「トリメチルホスフィン」の記事における「錯体化学」の解説
トリメチルホスフィンは多くの金属と錯体を形成する配位子である。 PMe3 + Fe(CO)5 → Fe(CO)4PMe3 + CO
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/16 00:52 UTC 版)
アセチルアセトナートは、2つの酸素原子を介して多くの遷移金属イオンと六員環を形成しながら結合する。例としては Mn(acac)3、VO(acac)2、 Fe(acac)3、そして Co(acac)3 などが挙げられる。M(acac)3 の形式の錯体は全て、鏡像異性体が存在する。また中心金属の酸化度を電気化学的に変化させることで錯体量も減少するが、その減少速度は溶媒量と中心金属の種類に依存する。2つ、もしくは3つ配位した錯体、M(acac)2 および M(acac)3は、対応するハロゲン錯体とは対照的に、一般的に有機溶媒に可溶である。このため、アセチルアセトン錯体は触媒や反応試薬の前駆体として広く用いられる。他にもNMRシフト試薬、有機合成における遷移金属触媒、工業的なヒドロホルミル化触媒の前駆体などとして用いられる。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/06 00:56 UTC 版)
AsF6 が付随するとき、XeF2 は配位錯体の配位子となることができる。その例の一つにフッ化水素溶液中での反応がある。 Mg ( AsF 6 ) 2 + 4 XeF 2 ⟶ [ Mg ( XeF 2 ) 4 ] ( AsF 6 ) 2 {\displaystyle {\ce {Mg(AsF6)2\ + 4 XeF2 ->\ [Mg(XeF2)4](AsF6)2}}} 結晶解析から、マグネシウムには6個のフッ素原子が配位していることが示された。フッ素の4つは4つの XeF2 配位子、他の2つのフッ素は cis AsF6 配位子に由来すると考えられる。単純な反応は、 Mg ( AsF 6 ) 2 + 2 XeF 2 ⟶ [ Mg ( XeF 2 ) 2 ] ( AsF 6 ) 2 {\displaystyle {\ce {Mg(AsF6)2\ + 2 XeF2 ->\ [Mg(XeF2)2](AsF6)2}}} この生成物の結晶構造では、マグネシウムは八面体配位、XeF2 配位子はアキシアル、AsF6 配位子はエカトリアルに位置する。 多くの [ M + ( XeF 2 ) n ] ( AF 6 ) x {\displaystyle {\ce {[M^+(XeF2)n](AF6)x}}} 形成の反応から M が Ca, Sr, Ba, Pb, Ag, La, Nd、そして、A が As, Sb, P のものが観測された。 XeF2 のフッ素が金属に単独配位した化合物の反応は、 2 Ca ( AsF 6 ) 2 + 9 XeF 2 ⟶ Ca 2 ( XeF 2 ) 9 ( AsF 6 ) 4 {\displaystyle {\ce {2Ca(AsF6)2\ + 9XeF2 -> Ca2(XeF2)9(AsF6)4}}} この反応は大過剰の XeF2 を必要とする。その塩は、Ca イオンの1/2が XeF2 由来のフッ素原子に配位しており、一方別の Ca イオンの配位圏は XeF2 と AsF6 の両方の配位子が支えている構造をしている。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 09:30 UTC 版)
無水物が必要とされる特殊な例もあるが、「塩化ニッケル」の反応として知られるものの多くは六水和物のものを指す。反応例としてはジメトキシエタンによる錯体 NiCl2(dme)2 の生成が挙げられる。この錯体にシクロペンタジエニルナトリウムを作用させるとニッケロセンが得られる。 配位子 H2O は容易にアンモニア、アミン、チオエーテル、チオラート、ホスフィンなどによって置換されるため、NiCl2•6H2O は様々な錯体の前駆物質となりえる。塩化物イオンが錯体中に残ることもあるが、強い配位子を加ればこれも置き換わる。以下に例を示す。 [ Ni ( NH 3 ) 6 ] Cl 2 {\displaystyle {\ce {[Ni(NH3)6]Cl2}}} - 紫、常磁性、八面体型。 NiCl 2 ( Ph 2 PCH 2 CH 2 PPh 2 ) {\displaystyle {\ce {NiCl2(Ph2PCH2CH2PPh2)}}} - オレンジ、反磁性、平面4配位。 [ Ni ( CN ) 4 ] 2 − {\displaystyle {\ce {[Ni(CN)4]^{2-}}}} - 無色、反磁性、平面4配位。 [ NiCl 4 ] 2 − {\displaystyle {\ce {[NiCl4]^{2-}}}} - 青、常磁性、四面体型。 塩化ニッケル錯体のうちある種のものは、溶液中で2種類の構造の平衡混合物として存在する。これはニッケル(II) 錯体に見られる特徴的な性質である。例えば NiCl2(PPh3)2 は4配位だが、溶液中では反磁性の平面4配位型と常磁性の四面体型構造の間で平衡がみられる。平面4配位錯体はもう1個配位子が追加されて5配位をとることができる。 塩化ニッケル(II) からはニッケル(II) アセチルアセトナート Ni(acac)2 が合成でき、これはビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル Ni(cod)2 の前駆体となる。Ni(cod)2 は有機ニッケル化合物の化学において多様な用途を持つ。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 14:07 UTC 版)
「塩化ルテニウム (III)」の記事における「錯体化学」の解説
ルテニウムの化合物の中では最もよく用いられており、特に水和物 RuCl3·xH2O は多くの化合物の前駆体となる。ルテニウムの化合物全般の性質として、複数の酸化状態を安定的に取ることができ、Ru(II)、Ru(III)、Ru(IV)が安定である。
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錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 05:39 UTC 版)
「EDDS (キレート剤)」の記事における「錯体化学」の解説
6員キレート環は錯体の赤道面に来る。(上図は(R,R)体) キレート剤として、(S,S)-EDDSはEDTAと比較されることが多い。よくキレートの対象とされるFe3+イオンに注目した場合、その安定度定数は次のようになる。 Formation Reaction Formation Constant [ Fe ( H 2 O ) 6 ] 3 + + ( S , S ) − EDDS 4 − ⟶ Fe [ ( S , S ) − EDDS ] − + 6 H 2 O | | K EDDS = 10 20 ⋅ 6 {\displaystyle {\ce {[Fe(H2O)6]^{3+}{+}(S,S)-EDDS^{4-}-> Fe[(S,S)-EDDS]- + 6 H2O || K_{EDDS}= 10^{20.6}}}} [ Fe ( H 2 O ) 6 ] 3 + + EDTA 4 − ⟶ Fe ( EDTA ) − + 6 H 2 O | | K EDTA = 10 25 ⋅ 1 {\displaystyle {\ce {[Fe(H2O)6]^{3+}{+}\ EDTA^{4-}->Fe(EDTA)-+6H2O||K_{EDTA}=10^{25.1}}}} (S,S)-EDDSの安定度定数はEDTAより低いため、キレート剤として用いることができるpHの範囲は(S,S)-EDDSのほうが狭い。おおよそ、EDTAでは2~11、(S,S)-EDDSでは3~9となる。だが、通常の用途には(S,S)-EDDSで十分である。 錯体の構造を比較した場合、どちらの錯体もC2対称軸を持つが、EDTAは5つの5員キレート環(NC2OFe×4、C2N2Fe)を持つのに対し、(S,S)-EDDSは3つの5員キレート環(NC2OFe×2、C2N2Fe)と2つの6員キレート環(NC3OFe×2)を持つ。結晶構造解析によると、6員キレート環は錯体の赤道面に位置し、全体の歪みを減少させている。
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