さくたい‐かがく〔‐クワガク〕【錯体化学】
錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 01:19 UTC 版)
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錯体化学(さくたいかがく、英語:complex chemistry)とは金属錯体を研究する化学であり、無機化学の根幹領域のひとつでもある。 古くは錯塩化学(さくえんかがく、complex salt chemistry)や配位化学(はいいかがく、coordination chemistry)とも呼び表された。
歴史
錯体化学の創始は、1896年にドイツのアルフレッド・ウェルナーが配位理論により、遷移金属塩のアンモニア化合物、水和物などを説明したことに始まる。また、配位理論は構造論であり無機化合物の構造に関する研究の第一歩でもあった。当時は配位子もほとんど無機化合物であったため無機化学の一分野と考えられた。
その後、EDTAをはじめ多座配位子として複雑な有機配位子、例えばコンプレキサン類、色素、ポルフィリン、ヘムあるいは金属配位タンパク質についても研究されるようになると生化学とも深いつながりを生じるようになる。また錯体中心金属は遷移金属のみならず、典型金属または非金属の典型元素までも研究対象とされるようになった。
有機金属化学との連携は1951年のフェロセンの発見に端を発して、メタロセン、パイ錯体など従来の配位理論の範疇を超える錯体の発見へとつながった。これらの錯体の構造論と反応性との研究成果は有機金属化学における新しい触媒や新しい反応試剤の開発へとつながり、有機合成化学とも深いつながりをもたらすようになった。
研究手法
錯体化学は構造論を軸としているので、対象化合物の構造解析は重要である。遷移金属錯体では配位構造変化に伴う光の吸収スペクトル変化が顕著でありUV-Visで確認することも多い。今日ではより直接的な構造解析手法、例えば、X線構造解析などによって行われる。また、必要に応じてIRやNMR、ESRなども利用される。
主な錯体化合物
- ウェルナー錯体
- 非ウェルナー錯体
錯体のファクター
本セクションでは、錯体生成反応を分析するのに重要な2つの定数逐次生成定数と全生成定数について述べる。
ここでは、金属塩をM、配位子をLとし、どちらの電荷も省略して表す。金属塩に配位結合している水も化学式の表記に省く。また、活量係数を1とする。すなわち、金属塩Mと配位子Lが配位結合する反応(主反応)は
- M + mL ←→ MLm (1-1)
と書ける。この反応の熱力学的平衡定数Kは次式で与えられる。
錯体化学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 21:25 UTC 版)
「テトラフェニルホウ酸ナトリウム」の記事における「錯体化学」の解説
テトラフェニルホウ酸は、非極性溶媒への溶解度の大きさと結晶化の容易さが期待できるため有機金属化学でよく研究されている。例えば、d8金属(ニッケル、パラジウム、白金)のペンタキス(亜リン酸トリメチル)錯体は、それらのテトラフェニルホウ酸塩から合成される。同様に、テトラフェニルホウ酸ナトリウムは二窒素を含む金属錯体の単離に使われる。テトラフェニルホウ酸ナトリウムは塩化物配位子をN2に置換する。このとき副生成物の塩化ナトリウムは沈殿するため容易に除去できる。 FeHCl ( diphosphine ) 2 + NaB ( C 6 H 5 ) 4 + N 2 ⟶ [ FeH ( N 2 ) ( diphosphine ) 2 ] [ B ( C 6 H 5 ) 4 ] + NaCl {\displaystyle {\ce {FeHCl({\mathit {diphosphine}})2\ +NaB(C6H5)4\ +N2->\ [FeH(N2)({\mathit {diphosphine}})2][B(C6H5)4]\ +NaCl}}}
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