精神神経の疾患
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 17:12 UTC 版)
うつ病 アルコール依存症によってうつ病が引き起こされる場合がある。逆に、うつ病によってアルコール依存症に陥ることもある(誤ったセルフメディケーション)。有病者の30-40%が、一生のうちにうつ病の診断基準を満たす。 不安障害 パニック障害、社交不安障害など。 双極性感情障害(躁鬱病) 双極性感情障害の患者が自己治療的に飲酒を続けた結果、アルコール依存症に陥る場合がある。 統合失調症 統合失調症の患者が自己治療的に飲酒を続けた結果、アルコール依存症に陥る場合がある。 ウェルニッケ‐コルサコフ症候群 チアミン(ビタミンB1)の欠乏によって発症する疾患で、急性症状をウェルニッケ脳症(アルコール性脳症)、慢性状態をコルサコフ症候群という。ウェルニッケ脳症は可逆的で数週間以内に自然に消失することがあるが、コルサコフ症候群に進展すれば80パーセントが回復しないが、生命の危険は少ない。意識障害、外眼筋麻痺、記憶障害、小脳失調、失見当識の症状がでる。コルサコフ症候群では記憶障害の結果として、記憶の不確かな部分を作話で補おうとすることが知られる。チアミン投与が有効である。 アルコール幻覚症 被害的内容の幻聴(英・auditory hallucination)を主とする幻覚が、飲酒中止時や大量飲酒時に急性・亜急性に出現する。飲酒を中止することで、数週間以内に消失することが多い。幻覚により殺人に至るケースも起きている。 アルコール性妄想状態 アルコール依存症でみられ、了解可能な嫉妬妄想が主。断酒によって次第に消失する。 ニコチン酸欠乏脳症(ペラグラ) ニコチン酸(ナイアシン)の欠乏によって発症する。幻覚、妄想やせん妄の症状がでる。 小脳変性症 文字通り小脳がアルコールの影響で変性することで発症する。歩行障害など下肢の失調が起こる。 アルコール性痴呆 アルコール自体が痴呆の原因となりうるのかは不明であるが、臨床的にはアルコール摂取が背景になっていると見られる痴呆が確かに存在する。画像検査では、脳室系の拡大と大脳皮質の萎縮が見られる。 アルコール性多発神経炎(末梢神経炎) アルコールが原因の栄養障害(ビタミンB群とニコチン酸の欠乏)により発症する。四肢の異常感覚や痛み、感覚鈍麻や疼痛、手足の筋肉の脱力、転びやすい、走りにくいなどの症状。コルサコフ症候群に合併すれば「アルコール性多発神経炎性精神病」と呼ばれる。
※この「精神神経の疾患」の解説は、「アルコール依存症」の解説の一部です。
「精神神経の疾患」を含む「アルコール依存症」の記事については、「アルコール依存症」の概要を参照ください。
- 精神神経の疾患のページへのリンク