第I章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/16 10:21 UTC 版)
その日、パートリッジヴィルは濃霧に包まれていた。恐怖小説家のフランクとハワードが、フランク宅で異次元の恐怖について談論しているところに、隣人ヘンリーが蒼ざめた顔でやって来る。ヘンリーは森の中で奇怪な物に襲われ、頭が冷たいと語る。ヘンリーの頭部には確かに穴状の傷があるが、出血はない。ハワードは「そういうホラーをこそ小説に書きたい。自分ができなくて苦心していることをこの酔っぱらいは簡単にやってしまった」と頓珍漢に怒鳴りつけ、ヘンリーは脳が冷たいと言いながら外に出てしまい、フランクはハワードを宥めつつヘンリーのケガを心配する。 ハワードはヘンリーが語った話を小説として書き留め始めるが、数分すると森から悲鳴が上がる。フランクとハワードが駆け付けると、瀕死のヘンリーが「脳みそを食われた」とつぶやきながら横たわっている。周囲からは奇怪な唸りが響いてくる中で、2人はヘンリーを農場の家に連れて帰る。呼ばれて来たスミス医師はヘンリーを脳炎と診断し、穴状の傷を銃創だと推測する一方で、何時間も生きていたのが信じられないことなどを述べる。 その場で手術が始まり、フランクが手持ちランプで照らす中、医師がヘンリーの脳を切開するが、医師は一目見るなり、驚愕と恐怖に震え、脳には触れず縫合して戻す。フランクは何を見たのかと尋ねるも、医師は戦慄しながら「とても口にはできない」「見た自分は汚染されてしまった」と述べるのみ。そして「ヘンリーには汚染の印がつけられているから、つけたやつらが来てヘンリーを要求するだろう」と予言して、2人にも逃げるように言い、逃げ去る。医師はヘンリーがもう長くないとも話していたため、フランク達はヘンリーを置かざるを得なかった。 2人は霧の中、モーターボートで海峡を進む。異様な気配を感じて振り向くと、森が炎上しており、木々の上には巨大な無定形のものがいて、ゆっくりと空をよぎってくる。その怪物は、2人の恐怖に比例して鮮明に具現化しつつあった。フランクに突如アイデアが閃き、2人はぼろきれに火をつけ、十字の印=太古のシンボルを描く。異次元の侵略者は追い払われて消え、命拾いしたことに安堵したフランクは気を失う。
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