第44回衆院選
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 06:24 UTC 版)
2004年11月、共産党はそれまでの方針を転換し、党の各都道府県委員会に衆院選における選挙区候補者擁立を義務付けない方針を示した。そして2005年の衆院選(いわゆる「郵政民営化選挙」)では、準備不足もあり、国政選挙としてはここ数十年では初めてとなる大量の共産空白区が発生した。衆議院解散直後は各メディアが共産空白区が100選挙区程度に上ると報道したが、その数字は下回って最終的には共産空白区は300選挙区中25選挙区にとどまった。 当時は自民・民主の二大政党が拮抗した状況で、全国で1割近くいる強固な共産支持層の動向は二大政党の勝敗を左右する、と注目された。共産党は「自民・民主両党は政策に大差が無く、わが党とは決定的に異なる。」としていたが、25選挙区ある共産空白区のうち16選挙区では自民党候補と民主党候補の一騎討ちという構図となり、護憲という立場では共産党と政策距離が近い社会民主党候補が存在した共産空白区は長崎4区のみの1選挙区であったため、反自民層の多い共産党支持者は、多くが野党、特に第一野党である民主党候補へ流れると予測された。毎日新聞によると、共産空白区において前回と民主党候補者が同じであった10選挙区(2003年衆院選で野党候補が社民党公認候補であったが2005年衆院選前に民主党に入党して民主党公認候補として立候補した大分3区を含む)の出口調査では共産支持層の最高で91%、最低でも58%が民主党候補に投票したと答え、大方の予測通り民主党に一定の上乗せがあったとされる(共産党候補を擁立している選挙区では共産支持層は90%近くが共産党候補に投票している)。しかし、共産空白区に限らず当時の小泉純一郎総理大臣の人気と「郵政民営化」を争点にした選挙戦術により与党候補が圧勝した選挙区が多かった上に、野党系候補の勝った選挙区は概ね元々野党の地盤が強い地域であることが多かったので、結果的には共産票がキャスティング・ボートを握るまでには至らなかった。 ちなみに、2005年衆院選では郵政国会で郵政民営化法案に反対票を投じた自民党候補(いわゆる「郵政造反組」)と与党が擁立した郵政民営化賛成候補(「刺客」と呼ばれた候補など)が対決した選挙区が共産空白区の中にも6選挙区あったが、静岡7区や広島6区など小泉劇場として全国的な注目を集め、地域住民だけでなく地域外の住民にも関心が非常に高まった選挙区となったにも関わらず、共産党の候補がいなかったために全国やその地域に政策をアピールする絶好の機会を失ってしまった、という意見がある。
※この「第44回衆院選」の解説は、「共産空白区」の解説の一部です。
「第44回衆院選」を含む「共産空白区」の記事については、「共産空白区」の概要を参照ください。
- 第44回衆院選のページへのリンク