第六の警察隊長の語った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第六の警察隊長の語った物語」の解説
第六の警察隊長ガマル・アル・ディーンは次のように語った。 昔ある帝王(スルタン)にダラルという幼い王女がいた。ある日ダラルは虱(シラミ)を一匹台所の油の大甕に入れて蓋をした。何年も経ってダラルが15歳の美しい姫になったとき、虱は水牛ほどの大きさになり、甕を割って出てきた。王は虱を殺し、皮を剥いで、門の外に掛け、この皮が何であるかを当てた者はダラルと結婚できるが、外れた者は死刑にすると宣言した。何人もの男が挑戦したが、皆外れて死刑になった。 ある日、美しい若者が現れ、虱の皮であることを言い当て、ダラルと結婚し、しばらく一緒に暮らしたが、ダラルを連れて国へ帰ると言い去って行った。実は若者は食人鬼(グール)で、人里離れた家にダラルを連れて行き、毎日人を殺してその肉を食べ、ダラルには羊の肉を与えていた。食人鬼はダラルを試すため、ダラルの母親の姿になり家に来て、ダラルに「お前の夫は本当は食人鬼ではないのか」と聞いたが、ダラルは「食人鬼ではなく美しい王子です」と答えた。食人鬼は更にダラスを試すため、ダラルの叔母の姿になり同じことをした。三度目に、食人鬼がもう一人の叔母の姿で来たとき「ムハンマドに懸けて言えるか」と聞かれたので、ダラルは本当のことを言ってしまい、食人鬼は姿を現し、ダラルを食おうとした。ダラルは食われる前に浴場(ハンマーム)に行きたいと言い、食人鬼もその方が旨くなると思い、ダラルを浴場に連れて行き、女湯の前で待っていた。ダラルは女湯にいた豆売りの老婆と服を取り換え、豆売りの姿で、気づかぬ食人鬼の前を通り過ぎ逃げて行った。 逃げて来たダラルがある王の御殿の前で休んでいると、ダラルの美しさのため王妃が招き入れようとし、呼びに来た王子とダラルは互いに一目ぼれしてしまい、2人は結婚した。しかし、結婚式の日に食人鬼は進物の羊の姿で御殿に入り込み、夜になるとダラルをさらった。ダラルは便所に行きたいと言い、便所で預言者の娘ザイナブに祈ると、使いの女鬼神(ジンニーヤー)が現れ、食人鬼を殺し、助けてくれた。 女鬼神はダラルに「息子の病気を治すため、エメラルドの海の水を一杯すくってほしい。」と頼み、ダラルが承知すると、空を飛びエメラルドの海に行き、ダラルに水を一杯すくわせた。ところが、ダラルの手の水に濡れた所は緑色になってしまった。女鬼神はダラルを御殿に帰し、水をもらうと去って行った。一方エメラルドの海の番人は、水が減ったことに気づき、犯人を捜すため、腕輪商人の姿をして旅に出て、町々で腕輪を試させ手が緑色の人がいないか見て歩いた。ある日、番人はダラルの住む町に来て、ダラルの手を見てダラルを捕まえ、空を飛び、エメラルドの海の王のところにダラルを連れて行った。エメラルドの海の王はダラルの美しさに魅了されてしまい、結婚すれば水を盗んだことを許すと言ったが、ダラルは既に結婚しているので、代わりにダラルの10歳の娘と結婚することにし、みな幸せに暮らした。
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