窒息事故の可能性と各国の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 23:27 UTC 版)
「こんにゃくゼリー」の記事における「窒息事故の可能性と各国の対応」の解説
ゼラチンのものに比べて弾力性が高く、口腔内の温度でも溶解しないため誤嚥しやすく、咀嚼力の弱い幼児や老人が噛まずに飲み込んだ場合、最悪喉に詰まらせ窒息死する恐れも指摘される。容器から直接に食べるため、吸気と一緒に咽頭や喉頭に嵌頓することも、窒息事故の原因と推定されている。 実際に死亡事故も発生しているため、欧州連合では2003年からゼリー菓子の材料にこんにゃくを使用することを禁止しており、韓国やアメリカ合衆国でもこれに追随する形で、販売の禁止または事実上の流通停止を行っている。 日本では、一口ずつ噛み切って食べるようにパッケージへの記載や、グルコマンナン濃度の低下など物性や形状等の工夫がはかられているが、国民生活センターによると、1995年から2008年までの間に22件の死亡事故が発生しているとされ、このことが2007年から2008年にかけて報道された際には大きな社会的関心を集めた。国会やマスメディアがこの問題を取り上げ菓子メーカーの企業責任を厳しく追及し、日本でも海外のようにこんにゃくゼリーを全面的に禁止すべきであるという意見も出され、社民党の福島みずほ党首と近藤正道参院議員からはこんにゃくゼリーの製造・輸入・販売の即時禁止と企業への責任追及と自主回収要求する「申し入れ」が野田聖子消費者行政担当大臣に要求された。こんにゃくゼリー最大手であるマンナンライフは対策を取るために一時生産を停止し、後に生産を再開する際にも警告文を大きく表示するなどの対応を迫られたほか、同業他社も同様の対策を取ることになった。 こんにゃくゼリーの全面禁止がスムーズに進んだ世界各国とは違い、日本の世論は賛否に分かれた。日本はこんにゃくが食品として流通する国としてこんにゃくゼリーに親しんでいる背景もあり、前述のように日本において菓子メーカーの責任が関心を集めた際には、こんにゃくゼリーの販売中止に反発するインターネット上の署名運動もまた1か月間で2万7000筆を集めるなど、菓子メーカーへのバッシングに対する反発や同情の声も寄せられた。
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