秘密録音が禁止される例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 22:14 UTC 版)
「秘密録音」自体は合法とされていても、録音すること自体が法的に禁止された場所で秘密録音を行うことは違法である。例えば法廷内での録音には刑事訴訟規則第215条及び民事訴訟規則第77条に基づいて裁判所の許可が必要であるため、法廷内で秘密録音を行っていたことが発覚した場合、裁判所法71条2項(法廷警察権の行使)に基づいて録音の消去や退廷などを命じられる他、「法廷等の秩序維持に関する法律」に基づいて留置や過料などの刑罰を受ける場合がある。また、上述の学校法人関東学院事件の東京高裁(平成28年5月19日判決)の例における「ハラスメント委員会」の内容など、絶対に外部に漏らすべきではない会話の内容を秘密録音することも、民法第1条(信義則)に違反するとされ、極めて違法性の高い物とみなされる。そのため、裁判になった場合、違法性が高い手段を用いて行われた「秘密録音」自体の証拠能力も認められない場合がある。 一方、秘密録音が法的に禁止されていない場所で秘密録音を行った場合は、合法であるため、たとえ発覚した場合でも、秘密録音を行った録音者に対する罰則を課すことはできない。 使用者は業務命令によって労働者に「秘密録音」の禁止を命令することができ、それに従わない場合は就業規則違反(労働契約違反)として労働者に罰則を科すことが出来る場合がある。ただし、東京高裁(昭和52年7月15日判決)の判例から、録音相手の人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害しない限りは、労働者による秘密録音は認められると考えられている。東京地裁の2016年の判例では、「秘密録音」を行った労働者に対して「労働者の自己防衛のための秘密録音」を認め、使用者が業務命令違反による解雇を行ったのは無効だとした。なお、パワハラ・セクハラを理由とする秘密録音を労働者が行う場合、そのような労働者を使用者が労働契約違反に問う以前に、そもそもパワハラ・セクハラなどの存在自体が労働契約法第5条(職場環境配慮義務)違反であるため、使用者は改善の義務がある。
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