科学技術リテラシー
リテラシーとはもともと読み書きの能力のことですが、転じて基礎的な素養といった意味で使われています。科学技術リテラシーとは科学技術に関する基礎的な素養といった程度の意味です。最近、この言葉がよく使われるのは、地球規模での“知”の大競争時代を迎え、国民の科学技術に関する知識の層の厚さが国の競争力に重要な意味を持つ時代に入ったからです。
1995年に施行された科学技術基本法に基づき、政府は科学技術基本計画を策定しています。2006年度から第3期の計画が始まっています。政府の研究開発投資は第1期、第2期基本計画の10年間で38兆円、第3期も25兆円を予定しています。税収が伸び悩む中でも科学技術関係予算は増え続け、ほかの政策経費に対して高い伸びを確保しました。国民1人当たり年間3万円以上の税金を研究開発に支払っている計算になります。
それにもかかわらず日本では科学技術に無関心な人が多いといわれています。子供たちの理科離れ、理工系離れが問題になっていますが、大人もあまり変わらないようです。人口減少が進む日本は、科学技術の成果である“知”によってしか経済成長の道はありません。国民が科学技術に関心を持たないようになっては国の存立基盤が危うくなりかねません。
科学技術の研究を担う専門家の育成も大切ですが、国民全体の科学技術リテラシーを底上げすることも重要な課題です。多く国民が科学技術に関心を持つことによって専門家の研究に拍車がかかるでしょうし、優秀な研究人材が数多く育つことにもなります。
第3期科学技術基本計画は基本姿勢として「社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術」を第1に上げています。政府は科学技術振興の成果を国民に分かりやすく示し、理解してもらう施策を強化する方針です。理科離れを防ぐ教育はもちろんのこと、国民全体の科学技術リテラシー向上のために有効な施策を講じる必要があるでしょう。
(掲載日:2007/07/13)
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