神経学とOBE様体験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 23:21 UTC 版)
OBEの一部には、いくつかの生理学的説明がある。OBE様体験は脳の刺激によって誘発され、右側面の上側頭回後部への刺激によっても誘発される。また、ポジトロン断層法もこの刺激の影響を受ける脳領域を特定するために使用されている。「OBE様」(英: OBE-like)という用語が使われているのは、それらの実験で説明された体験は、以前にOBEを経験したことのない被験者による説明だったか、もしくは通常のOBE体験の明瞭性ないしは幾分かの詳細が欠如していたためである。したがって、それらの被験者は実験的に誘発されたOBEの信憑性を主張するのに適任であるとされなかった。 イギリスの心理学者スーザン・ブラックモアなどは、意識を保ちながら体からの感覚入力が途絶えた際にOBEが始まることを示唆している。その際に人は体を持っているという錯覚を抱くが、もはやその知覚は感覚から生起されていない。そのとき知覚される世界は、その人が普段起きている間に見る世界と似ているかもしれないが、どちらにせよその知覚は感覚器官によってもたらされている訳ではない。感覚からの情報が欠如していても、完全に説得力を持つ世界を作り出す脳の能力によって明瞭な身体と世界は作られる。我々は毎晩、このプロセスを夢という形で目の当たりにするが、OBEは明晰夢よりも遥かに明晰であると言われている。 Irwinは、覚醒度が非常に高いか低いときにOBEが発生しているように見えると指摘した。例えば、GreenはOBEを報告した176人の被験者のうち4分の3が体験時に横たわっており、これらの12%が開始時に眠っていたと考えられることを発見した。対照的に、ごく少数のケースでは登山中の転落や交通事故、および出産などの非常に覚醒度が高い条件下で発生していた。McCreeryは、このパラドックスは極端なストレスや過覚醒に対する反応として睡眠が付随して発生することを参考にすることによって説明可能かもしれないと提案した。彼は、リラックスと過覚醒の両方の条件下におけるOBEは「白昼夢」の一形態、または覚醒意識へ入るステージIの睡眠への侵入を表していると提案した。
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