神事のためのたいまつ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/08 04:24 UTC 版)
たいまつは、祭りなどの神事で、夜間の照明や、神聖な火を運ぶものとして使われることもある。夜間の参道を照らしたり、参拝者がたいまつを掲げて行列を組み神社などへ練り歩いたり、燃えやすい薪などの木ぎれを組んで作られた祭事用の「大松明」に火をつけて夜を照らしたり下界へ走り抜けたりするなど、たいまつを使った様々な「火祭り」が行われる。同様に火を使う儀式には送り火や灯籠流しなどもある。こうした夜を徹する神事や、神々や死者などへささげるためのたいまつの使用は、日本に限らずアジアや古代ヨーロッパやギリシャ・ローマなど、世界各国のあらゆる民族に共通して見られる。 神聖な火を運ぶたいまつ(トーチ)で世界的に有名なものは、オリンピックの際、採火から閉会式まで消さない聖火をギリシャから各国、開催国内をリレーして走る際にも使われている聖火リレーのトーチである。このトーチは、聖火リレーと同じく1936年のベルリンオリンピックから導入された。 オリンピック以外のスポーツイベントでもトーチが用いられることがある。市販のものには内部に専用カートリッジを備えたものもあり火煙式トーチと発煙式トーチがある。 たいまつには、昭和23年に大麻取締法が強化されるまでは麻木(おがら)が使われていたが、現在はほとんど麻木は使われていない。麻木をたいまつに使っている神社は全国で2社だけとなった[要出典]。 なお、一般神社で儀式で用いるたいまつは、「ヒデ」(松の芯の、特に脂分が多い部分)と葦を一緒に束ね、数か所を縛り、手元を和紙で巻いたものを用いる事が多い。その扱い方は行列の場合、吉事には火を列の内側に、凶事は外側に向ける。また神道では、たいまつの事を単に「マツ」とも呼ぶ事も多い。神社では、野外用を「松明」(たいまつ)と称し、屋内用を「脂燭」(ししょく・しそく)と言う。これは、松の「ヒデ」の脂に点火するので、その名がある。松の棒の手元の部分を紙で巻いたものを紙燭(ししょく)と言う。紙燭の作り方については一定ではなく様々な様式があり、スギの芯やマツの小枝も用いられた。これらは、夜間の神事等で屋内の通路を照らすのに使用する。なお、脂燭の使用法などは平安時代の『令義解』にも記されている。また、脂燭のさし方は松明と同様である。
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