磁気回路
スピーカーから音を発生させるにはボイスコイル(振動板の裏面に装着される)を駆動する必要がある。そのボイスコイルが入るギャップ(隙間)に、マグネットの持つ磁束を効率的に集束させるように構成した回路のこと。マグネットにはフェライト、アルニコ、ネオジウムの3種類があり、ネオジウムは最も小型で強力だ。
(執筆:オーディオビジュアル評論家 細谷信二)
※この情報は「1999~2002年」に執筆されたものです。
磁気回路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 23:22 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動「磁気回路」の概念は不飽和強磁性材料における磁場の方程式と電気回路の方程式の間の1対1の対応関係を利用している。この概念を使用して変圧器のような複雑な装置の磁場を電気回路のために発展した方法と技術を利用して素早く解決することができる。
磁気回路のいくつかの例は以下の通り。
起磁力
起電力(EMF)が電気回路内の電荷の電流を駆動する方法と同じ方法で、起磁力(MMF)が磁気回路を通る磁束を「駆動」する。起電力の定義同様、閉ループ周りの起磁力
磁気回路は電気回路の法則に似た他の法則にしたがう。例えば、が直列に並んだ総リラクタンスは
となる。これはアンペールの法則にもしたがい、抵抗を直列に追加するキルヒホッフの電圧法則に似ている。さらに、任意のノードへの磁束の合計 は常に0である。
これはガウスの法則に基づいており、電気回路を解析するために使われるキルヒホッフの電流法則に似ている。
上記3つの法則は電気回路と同様の手法で磁気回路を解析するための完全なシステムを形成する。2種類の回路を比較すると次のことが分かる。
- 抵抗 R に相当するのはリラクタンス である。
- 電流 I に相当するのは磁束 Φ である。
- 電圧 V に相当するのは起磁力 F である。
純粋なソース/抵抗回路にキルヒホッフの電圧法則 (KVL)と磁気的に等価なものを適用することにより、各分岐の磁束について磁気回路を解くことができる。具体的にはKVLはループに印加される電圧励起がループ周囲の電圧降下(抵抗と電流の積)の合計に等しいと述べているのに対し、磁気的な類似は起磁力(アンペア回数励起から得られる)がループの残りの部分における起磁力降下(磁束とリラクタンスの積)の合計に等しいと述べている(複数のループがある場合、ループ解析でメッシュ回路の分岐電流の行列解が得られるのと同様に各分岐の電流が行列方程式により解くことができる。この後個々の分岐電流は、採用している符号の規約とループの向きによる示しにより構成ループ電流を加算および/または減算することにより得られる)。アンペールの法則により、励起は電流と作られた完全なループの数の積であり、アンペア回数で測定される。より一般的にいうと
(ストークスの定理によると外形周りのH·dlの閉じた線積分は、閉じた外形に囲まれた表面全体のcurl H·dAの開いた面積分に等しいことに注意。マクスウェル方程式からcurl H = Jなので、H·dlの閉じた線積分は表面を通過する電流の合計に評価される。これは表面を通過する電流も測定する励起NIに等しく、これにより表面を流れる正味の電流がエネルギーを保存する閉じた系で0アンペア回数であることを確認する。)
磁束が単純なループに限られないもっと複雑な磁気システムは、マクスウェル方程式を使用して第一原理から解析する必要がある。
応用
- ある変圧器の磁心に空気ギャップを作ることで、飽和の影響を減らすことができる。これにより磁気回路のリラクタンスが増加し、磁心が飽和する前に多くのエネルギーを蓄えることができるようになる。この効果は、陰極線管ビデオディスプレイのフライバックトランスや一部のタイプのスイッチング電源で使われる。
- リラクタンスの変動は、リラクタンスモータ(または可変リラクタンス発電機)やアレキサンダーソンオルタネータの背景にある原理である。
- 通常、マルチメディアラウドスピーカーは、テレビやその他のCRTに生じる磁気干渉を減らすために磁気的に遮蔽されている。スピーカーの磁石は、漂遊磁場を最小にするために軟鉄などの材料で覆われている。
リラクタンスは、可変リラクタンス(磁気)ピックアップにも適用できる。
関連項目
脚注
- ^ International Electrotechnical Commission
- ^ Matthew M. Radmanesh, The Gateway to Understanding: Electrons to Waves and Beyond, p. 539, AuthorHouse, 2005 1418487406.
- ^ Rowland H., Phil. Mag. (4), vol. 46, 1873, p. 140.
- ^ Magnetism (flash)
- ^ Tesche, Fredrick; Michel Ianoz; Torbjörn Karlsson (1997). EMC Analysis Methods and Computational Models. Wiley-IEEE. pp. 513. ISBN 0-471-15573-X
外部リンク
- Magnetic-Electric Analogs by Dennis L. Feucht, Innovatia Laboratories (PDF) Archived July 17, 2012, at the Wayback Machine.
- Interactive Java Tutorial on Magnetic Shunts National High Magnetic Field Laboratory
磁気回路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 17:03 UTC 版)
例えば、電磁石のように鉄芯にコイルを巻いて電流を流すことで磁束を発生させることを考えたとき、磁束の通る磁路を磁気回路という右図(a))。 磁束 ϕ {\displaystyle \phi } を発生させる力を起磁力 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} とよび、コイルの巻数 N {\displaystyle N} とコイルに流す電流 i {\displaystyle i} から F = N i {\displaystyle {\mathcal {F}}=Ni} となる。また、磁路の平均長を l {\displaystyle {\mathit {l}}} 、断面積を S {\displaystyle S} とし、透磁率を μ {\displaystyle \mu } としたとき、磁気抵抗(リラクタンス) R {\displaystyle {\mathcal {R}}} は、 R = l μ S {\displaystyle {\mathcal {R}}={\frac {\mathit {l}}{\mu S}}} である。磁束 ϕ {\displaystyle \phi } は起磁力 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} に比例し、磁気抵抗 R {\displaystyle {\mathcal {R}}} に反比例するので、これらのの関係は、 ϕ = F R {\displaystyle \phi ={\frac {\mathcal {F}}{\mathcal {R}}}} となり、右図(b)のような回路に置き換えることができる。また、この式は、電気回路における電流 i {\displaystyle i} 、電圧 E {\displaystyle E} 、電気抵抗 R {\displaystyle R} との関係(オームの法則) i = E R {\displaystyle i={\frac {E}{R}}} と同形式(右図(c))であり { ϕ ⇔ i F ⇔ E R ⇔ R {\displaystyle {\begin{cases}\phi \Leftrightarrow i\\{\mathcal {F}}\Leftrightarrow E\\{\mathcal {R}}\Leftrightarrow R\end{cases}}} という対応になるので、磁気回路におけるオームの法則とも呼ばれる。 また、磁気回路におけるオームの法則と同様に、磁気回路におけるキルヒホッフの法則も成立する。 ただし、電気回路の場合は電気抵抗は線形素子として扱えるが、磁気回路の場合は透磁率が磁束の大きさによって変化するため非線形となるので注意を要する。
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