類推の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 23:22 UTC 版)
磁気回路と電気回路の間で類推を使う場合、この類推の限界に留意する必要がある。電気回路と磁気回路とはホプキンソンの法則とオームの法則が似ていることから表面的には類似している。磁気回路には大きな違いがあるが、その構造を考慮する必要がある。 電流は粒子(電子)の流れを表し、抵抗で一部もしくは全てが熱として消費される仕事率を運ぶ。磁場は何かの「流れ」を現すものではなく、リラクタンスで仕事率が消費されることはない。 普通の電気回路の電流は回路に限られ、「漏れ」はほとんどない。普通の磁気回路では材料の外側にも透磁率があるため、全ての磁場が磁気回路に限られるわけではない(真空透磁率参照)。したがって、磁心の外側の空間に大きな「漏れ磁束」が存在する可能性があり、これを考慮する必要があるが、往々にして計算が難しい。 最も重大なことは、磁気回路は非線形であることである。磁気回路のリラクタンスは電気抵抗のように一定ではなく磁場により異なる。高い磁束では磁気回路の磁心に使われる強磁性材料が飽和し、磁束のさらなる増加が制限されるため、このレベルを超えるとリラクタンスが急激に増加する。さらに強磁性材料はヒステリシスの影響を受けるため、その磁束は瞬間的なMMFだけでなくMMFの経緯にも依存する。磁束源をオフにした後は強磁性材料に残留磁気が残りMMFのない磁束が生成される。
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