磁気回路とは? わかりやすく解説

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磁気回路

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 23:22 UTC 版)

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磁気回路 じきかいろは、磁束を含む1つ以上の閉回路で構成される。磁束は普通、永久磁石もしくは電磁石により生成され、鉄といった強磁性材料からなる磁心により経路に閉じ込められるが、その経路には空隙もしくは他の材料があるときがある。磁気回路は電動機、発電機、変圧器、継電器、リフティング電磁石SQUIDs検流計、磁気記録ヘッドなど多くの装置で磁場を効率良く通すために使われている。

「磁気回路」の概念は不飽和強磁性材料における磁場の方程式と電気回路の方程式の間の1対1の対応関係を利用している。この概念を使用して変圧器のような複雑な装置の磁場を電気回路のために発展した方法と技術を利用して素早く解決することができる。

磁気回路のいくつかの例は以下の通り。

  • 鉄の保磁子付きの蹄鉄磁石磁気抵抗の低い回路)
  • 保磁子なしの蹄鉄磁石(磁気抵抗の高い回路)
  • 電動機(可変抵抗の回路)
  • ピックアップカートリッジのいくつか(可変抵抗の回路)

起磁力

起電力(EMF)が電気回路内の電荷の電流を駆動する方法と同じ方法で、起磁力(MMF)が磁気回路を通る磁束を「駆動」する。起電力の定義同様、閉ループ周りの起磁力

磁気回路

磁気回路は電気回路の法則に似た他の法則にしたがう。例えば、が直列に並んだ総リラクタンス

となる。これはアンペールの法則にもしたがい、抵抗を直列に追加するキルヒホッフの電圧法則に似ている。さらに、任意のノードへの磁束の合計 は常に0である。

これはガウスの法則に基づいており、電気回路を解析するために使われるキルヒホッフの電流法則に似ている。

上記3つの法則は電気回路と同様の手法で磁気回路を解析するための完全なシステムを形成する。2種類の回路を比較すると次のことが分かる。

  • 抵抗 R に相当するのはリラクタンス である。
  • 電流 I に相当するのは磁束 Φ である。
  • 電圧 V に相当するのは起磁力 F である。

純粋なソース/抵抗回路にキルヒホッフの電圧法則 (KVL)と磁気的に等価なものを適用することにより、各分岐の磁束について磁気回路を解くことができる。具体的にはKVLはループに印加される電圧励起がループ周囲の電圧降下(抵抗と電流の積)の合計に等しいと述べているのに対し、磁気的な類似は起磁力(アンペア回数励起から得られる)がループの残りの部分における起磁力降下(磁束とリラクタンスの積)の合計に等しいと述べている(複数のループがある場合、ループ解析でメッシュ回路の分岐電流の行列解が得られるのと同様に各分岐の電流が行列方程式により解くことができる。この後個々の分岐電流は、採用している符号の規約とループの向きによる示しにより構成ループ電流を加算および/または減算することにより得られる)。アンペールの法則により、励起は電流と作られた完全なループの数の積であり、アンペア回数で測定される。より一般的にいうと

(ストークスの定理によると外形周りのH·dlの閉じた線積分は、閉じた外形に囲まれた表面全体のcurl H·dAの開いた面積分に等しいことに注意。マクスウェル方程式からcurl H = Jなので、H·dlの閉じた線積分は表面を通過する電流の合計に評価される。これは表面を通過する電流も測定する励起NIに等しく、これにより表面を流れる正味の電流がエネルギーを保存する閉じた系で0アンペア回数であることを確認する。)

磁束が単純なループに限られないもっと複雑な磁気システムは、マクスウェル方程式を使用して第一原理から解析する必要がある。

応用

  • ある変圧器の磁心に空気ギャップを作ることで、飽和の影響を減らすことができる。これにより磁気回路のリラクタンスが増加し、磁心が飽和する前に多くのエネルギーを蓄えることができるようになる。この効果は、陰極線管ビデオディスプレイのフライバックトランスや一部のタイプのスイッチング電源で使われる。
  • リラクタンスの変動は、リラクタンスモータ(または可変リラクタンス発電機)やアレキサンダーソンオルタネータの背景にある原理である。
  • 通常、マルチメディアラウドスピーカーは、テレビやその他のCRTに生じる磁気干渉を減らすために磁気的に遮蔽されている。スピーカーの磁石は、漂遊磁場を最小にするために軟鉄などの材料で覆われている。

リラクタンスは、可変リラクタンス(磁気)ピックアップにも適用できる。

関連項目

脚注

  1. ^ International Electrotechnical Commission
  2. ^ Matthew M. Radmanesh, The Gateway to Understanding: Electrons to Waves and Beyond, p. 539, AuthorHouse, 2005 1418487406.
  3. ^ Rowland H., Phil. Mag. (4), vol. 46, 1873, p. 140.
  4. ^ Magnetism (flash)
  5. ^ Tesche, Fredrick; Michel Ianoz; Torbjörn Karlsson (1997). EMC Analysis Methods and Computational Models. Wiley-IEEE. pp. 513. ISBN 0-471-15573-X 

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