磁気回転不安定性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 17:21 UTC 版)
Balbus と Hawley は1991年の論文で、磁場が角運動量輸送を引き起こすメカニズムを提唱した。このメカニズムを示すシンプルな系は、軸方向に弱い磁場を持ったガス円盤である。この状況では、動径方向に隣接する2つの流体素片は質量を持たないばねで繋がれた2つの質点として振る舞うと考える。ここでは磁力線がばねに相当し、磁気張力がばねの張力としての役割を果たす。ケプラー回転する円盤では内側の流体素片が外側よりも速く公転するため、ばねは引き伸ばされる。ばねの張力によって内側の流体素片は減速する方向に力を受けることとなり、角運動量が引き抜かれより内側の軌道へと移る。逆に外側の流体素片はばねの張力によって前方に引かれて加速し、角運動量を得て外側の軌道へと移る。2つの流体素片が離れるにつれてばねの張力は大きくなり、この過程は加速度的に進行する。 このようなばねのような張力が存在する場合、レイリーの安定条件は d Ω 2 d ln R > 0 {\displaystyle {\frac {d\Omega ^{2}}{d\ln R}}>0} という形で置き換えられることが示される。大部分の天体物理学的な円盤はこの条件を満たさず、したがって円盤はこの磁気回転不安定性にさらされることになる。不安定性を発現させるために必要な天体に存在する磁場は、ダイナモ作用によって生成されると考えられている。
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