磁場による角運動量輸送 太陽系、銀河系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:27 UTC 版)
「プラズマ宇宙論」の記事における「磁場による角運動量輸送 太陽系、銀河系」の解説
我々の太陽系には角運動量分布異常がみられる。つまり太陽が全系の角運動量を保持しているとすると、太陽は13時間で1回転していると予測できる。しかし実際はその50倍も遅く約28日かかっているのである。つまり太陽は全角運動量の2%しか持っていない事になる。一方、太陽の1000分の1の質量しかない木星は全角運動量の70%も持っている事になる。残りの27%の角運動量は、ほぼすべて土星が保持している。このことは原始太陽系星雲中で、原始太陽付近の星雲中心部から、外側へ有効な角運動量輸送プロセスが行われた可能性を示唆している。これは(外側ほど遅く)差動回転する磁気流体には必ず生じる不安定性であり、磁場による角運動量輸送が原因で発生する。この現象は、どんなに磁場が弱くても起こる事がわかっている。 現在では太陽と惑星間に強い結びつきはないが惑星が凝縮する以前は、惑星の物質はガス状であり、太陽の周りにプラズマ状のガスが渦巻いていた。その時期には磁場による角運動量輸送が行われる環境が整っている。 この理論は現在では磁気回転不安定性や磁気乱流粘性、シミュレーション技術などが発展したため多くの支持を得ているが、アルヴェーンが提唱した当時は認められるにいたらなかった。しかし、後に強力な渦巻きフィラメントの存在が確証された事により、この理論は大きく飛躍し広く認められる事になった。 その後、この理論は銀河が電流によって形成されるという理論へと進んでいく足がかりとなった。銀河系は周縁部においても回転速度が低下せず、平坦な速度分布をしていることが分かっている。これは銀河の回転曲線問題として知られている。本来なら、中心部の回転速度よりも周辺部のほうが遅くなければならないのである。磁場による角運動量輸送がこの答えを解くことになる可能性がある。つまり太陽系と同様に中心からの角運動量輸送が磁場により行われたのなら、この問題も解決するのである。
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