研究倫理事件への日本の対応
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「研究倫理」の記事における「研究倫理事件への日本の対応」の解説
日本の研究倫理への対応は、すべての点で欧米にかなり遅れた[要出典]。 2000年11月5日、毎日新聞が藤村新一の旧石器捏造事件を報じた頃から、マスメディアが大学教授や研究者のデータねつ造、論文盗用、研究費不正などの事件を報道するようになった。 2005年頃、米国に約25年遅れて、米国の研究倫理事件への対応を取り入れる形で、日本でも、日本学術会議、総合科学技術会議などが対策に動き出した。 その集大成が、米国・研究公正局の考え方・やり方に追従する内容の文部科学省ガイドライン「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」で、2006年8月8日に制定した。2006年版ガイドラインで、「捏造」「改竄」「盗用」の3つを研究倫理に違反する主要な不正行為とした。 このガイドラインを、2014年8月26日に改訂した。以下、2014年版ガイドライン「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」に記載された不正行為を引用する。 対象とする不正行為は、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、投稿論文など発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造、改竄及び盗用である(以下「特定不正行為」という。)。(1)捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成すること。 (2)改竄 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。 (3)盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。 — 文部科学省、研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン 文部科学省は、「捏造」「改竄」「盗用」の3つを、2014年版で「特定不正行為」と命名した。白楽ロックビルは、この3つを、米国の研究公正局の「研究不正」(Research Misconduct)に対応させて、「研究ネカト」と呼ぶことを提唱している。 また、2014年版では、2006年版の冒頭部分「本ガイドラインの対象とする不正行為は、発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造と改竄、及び盗用である。ただし、故意によるものではないことが根拠をもって明らかにされたものは不正行為には当たらない。」の「故意によるものではないことが根拠をもって明らかにされたものは不正行為には当たらない」という文章がなくなり、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠った」場合は不正とみなされることになった。
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