研究倫理事件の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 01:48 UTC 版)
学術研究は信頼という土台の上に構築されている。研究者は研究公正の原則に沿って誠実に研究し、発表や報告する内容は正確でバイアスがない事実だと、社会は受け止めている。しかし、現実には、そうではないケースが一定の割合で生じている。研究者に研究公正の重要性を周知徹底させ、研究規範を遵守させていかないと、研究倫理に違反する事件がますます生じるようになる。 日欧米の生物医学研究分野で研究倫理事件が多発しているが、分野は文系・理系を問わない。 研究倫理には「研究」という語句がついているが、教育の場でも研究倫理に違反する行為が散見し、米国では、カンニングと同じレベルの学業不正ととらえられている。中学生、高校生、大学生、大学院生のレポート・論文・履歴書での捏造、改竄、盗用は明白な不正行為である。 米国では、中等教育・大学教育の場での悪質な研究倫理不正に対して、警告処分・単位不認定・停学処分・退学処分などが課されている。日本では、現在そのような処分は課されていないが、処分されるようになるだろう[要出典]。 欧米では、学位論文に捏造、改竄、盗用が発覚すれば、一度授与した学位ははく奪される。 日本でも、2007年に修士論文の盗用が最初に問題視され(文京学院大学)、授与した修士号がはく奪された。博士論文の不正が最初に問題視されたのは2008年の山形大学の事件である。この時、博士号ははく奪されていないが、その後、以下に示すように、授与した博士号ははく奪されることが一般的になった。 2015年3月27日、東京大学は、2005-2007年に博士号を授与した3人の元大学院生の博士論文にデータ捏造や改竄があったという理由で、博士号をはく奪した。 大学教員や研究機関の研究員が研究倫理に違反する行為をした時は、欧米では研究界から排除され、違反が顕著な場合は犯罪行為とみなされる場合もある。日本では、所属大学・所属研究機関から懲戒処分されるが、研究界から排除されないし、犯罪行為とみなされない。
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