石鹸型グリース
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/04 23:30 UTC 版)
石鹸型グリースの製造工程には、工程に石鹸の合成(鹸化工程)が含まれる方法(鹸化法)と、含めずに石鹸の完成品が利用される方法(混合法)とがある。鹸化法は1.鹸化工程、2.冷却工程、3.ミリング工程、4.脱泡工程、5.充缶工程に分かれる。また鹸化法は、鹸化工程が常圧で行われる常圧鹸化法と、高圧で行われる加圧鹸化法に分かれる。混合法では1の鹸化工程が無い。各工程について解説する。 鹸化工程金属水酸化物の水溶液と油脂類は潤滑油に加えられ、加熱と撹拌を加えられる。すると鹸化反応が起こり、潤滑油を均一に含んだ石けん、すなわち石鹸型グリースが合成される。合成後、不用となった水は取り除かれる(蒸発除去)。鹸化工程が常圧で行われる常圧鹸化法では応用範囲は広く、ほとんどのグリースがこの方法によって製造されている。加圧鹸化法では、鹸化反応から脱水にかかる時間が非常に短い。石鹸に完成品が利用される方法では、鹸化工程は省略される。 冷却工程鹸化工程が終わるとグリースは溶融または半溶融まで昇温させられる。次に冷却工程に進む。冷却工程では各グリースに最適な冷却温度、冷却速度、攪拌速度が設定されてグリースは冷却される。またこの時点で添加剤類や追加の基油が添加されて均一に分散させられる。このため、冷却工程は混合工程とも呼ばれる。なお、鹸化工程と冷却工程での過熱、撹拌、冷却など操作の設定は石鹸の立体構造と分散度を決め、グリースの性能の差を生む。例えば、冷却時間を長くすると石鹸繊維は長くなり、短くすると短くなる傾向がある。 ミリング工程冷却されたグリースは様々な装置(コロイドミル、ロールミル、ニーダー、ホモジナイザー等)を通過して均一化される。コロイドミルやロールミルは石鹸繊維の太さや長さを揃え、かつ、グリース中の密度を均一に分散させる。ミリング工程によってグリースは性能が均一になり、また、滑らかになる。ミリング工程前はグリースの性能や性状は場所によってばらつき、流動性が低い。 脱泡工程グリースは脱泡槽に送られる。脱泡槽内は減圧されており、グリース中の気泡は除去される。この工程はグリースの外観価値を高めるほか、貯蔵安定性および潤滑性能の寿命を延ばす。 充缶工程脱泡槽から出てきたグリースはフィルターメッシュを通り、グリース中のゴミや異物は取り除かれる。そして、グリースはドラム缶やペール缶などの容器に充填させられる。一般的に容器には1 - 2.5 kgの小缶や、16kgの角缶及びペール缶、180kgのドラム缶がある。容器は規定の表示および包装を付けられる。
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