短期自由刑の弊害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 08:37 UTC 版)
短期自由刑弊害論の歴史は古く、1898年(明治31年)に日本統治下の台湾において、「罰金及笞刑処分例」の公布により「笞刑」を刑罰として導入した際の導入の是非に関する論争に見てとれる。すなわち笞刑導入擁護側から、短期自由刑の弊害が指摘され、それが笞刑導入の理由一つとすらなっている。このときは、短期自由刑に悪風感染の弊害や、受刑者本人のみならずその家族も困窮することがあげられている。現在、短期自由刑に弊害があるとし、その廃止を主張する説の論者は、短期自由刑の弊害として以下の理由をあげる。 短期であるために教育ならびに改善手段を講ずる余裕がなく、刑罰としての威嚇力もない。 短期拘禁は家族の物質的および精神的な困窮をもたらし、受刑者の釈放後の社会復帰も困難となる。 執行場所の設備が不十分で、適格な職員の指導が不十分となり、悪風に感染させる。 初犯者に短期の自由刑を科すと、拘禁のおそろしさの念を喪失させ自尊心の低下を招く。 短期自由刑の受刑者には、下層階級の者が多いため、不公正感を深めるおそれがある。 短期自由刑受刑者による施設の過剰な占領は、行刑実務に過大な負担をかける これに対して、短期自由刑に積極的な意義を見出そうとする立場からは、以下の反論がなされる。 初犯者、機会犯人、特に過失犯には、ショック効果がある。 刑務所の実情を見るならば、刑期の短いことは自由刑としてかえって利点となる。 財産刑は、貧富の差によって感銘力に差がでるが、自由刑たる短期自由刑には、そのような弊害はない。 というものである。しかも、短期自由刑の弊害とされてきたものは、短期自由刑の「短期」性に由来するものでなく、自由刑そのものに対する弊害でないのかという指摘もある。
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