発展型の是非
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 04:24 UTC 版)
101系の主電動機の熱問題は、同じMT46Aを用いた中・長距離電車でも発生していたが、常時使用で問題になる101系と違って中・長距離電車の場合は故障時に編成の一部の電動車をカットして走行していた。国鉄では1960年2月以降101系に代わる次期通勤電車の開発にかかっており、大出力の主電動機を用いて、電力消費量が増えた分を回生ブレーキによって補うことが考えられ、この2点に関する試験が行なわれた。その結果、中・長距離電車用には大出力主電動機MT54が採用されたが、次期通勤電車への採用は見送られた。出力増強の対になる回生ブレーキ試験の結果がかんばしくなく、加減速が頻繁な通勤電車で回生ブレーキを使わずに主電動機のみ増強した場合の必要電力の増大が許容できなかったため、以後の通勤電車は101系の出力増強形でなく経済性に特化した103系が用いられた。 電力回生ブレーキは1960年3月に101系910番台を製造し1960年6月 - 7月に試験を行った。主電動機増強試験は120 kWのMT909型試作電動機を101系に取り付けて1961年1月に実施し、その結果MT909は120 kWのMT54に発展していった。一方通勤形に対しては回生ブレーキを使わずに主電動機のみ増強した場合、一時間定格電流が360 Aになるため、当時の通勤各路線のピーク電流問題を考えると変電所の増強が必要になること、出力が増強されても山手線や京浜東北線などの通勤路線をMT比1:1で使用した場合のRMS電流が一時間定格電流の93 %に達し103系の78 %に対して負荷が大きいこと、出力アップにより消費電力量が増えるなどの問題があった。 RMS電流は、駅間距離が伸びて惰行時間が増えれば改善できるので、都心部の駅間の短い路線ではなく東海道山陽線などの駅間距離が長い路線であれば問題無く使うことができる。しかし、ラッシュ時の査定ではあるが駅間距離が比較的長い路線であっても、4 km程度までであれば101系のMT54取付形式よりも次期通勤電車として設計された103系の方が運転時間や消費電力量で有利である点が確認された。
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