病的な結晶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/24 20:50 UTC 版)
病的な結晶尿pH色調形態意義ビリルビン 酸性尿のみ。 黄色から茶色 細い針状か顆粒状、束状。細胞表面に付着していることがよくある。 病的。 肝胆道疾患による黄疸で水溶性の直接ビリルビンが尿中に出現している。 コレステロール 酸性から中性尿 無色 板状の長方形、角が欠けている。 病的(ネフローゼ症候群、嚢胞腎、乳微尿、など)。まれ。 冷蔵後に出現することが多い。 卵円形脂肪体・脂肪円柱・脂肪滴が合併することがある。 鏡検では造影剤結晶に似ているので注意を要する。(造影剤では尿が高比重、タンパク尿や脂肪尿を伴わない。) シスチン 主に酸性尿。 無色 正六角形板状、層状 病的(シスチン症、シスチン尿症)。まれ。 小児の腎結石の最も多い原因。 ヘモジデリン 酸性から中性尿 金茶色 顆粒状、遊離状、塊状、細胞や円柱内 病的。まれ。 溶血性疾患で見られる。 ロイシン 酸性尿で形成される。 暗黄色から茶色 同心円状かスジ状の球 (中心部が黒く放射状に線) 病的。まれ。肝不全、メープルシロップ尿症、等。 チロシン結晶を伴うことがある。ビリルビン尿もよく合併。 チロシン 酸性尿で形成される。 無色〜黄色 細い繊細な針状結晶が房状・束状になっている 病的。チロシン血症や肝疾患、アミノ酸尿。まれ。 ロイシン結晶やビリルビン尿もよく合併。 ジヒドロキシアデニン(DHA) 黄褐色 円形、車軸状 (同じく黄褐色で不規則板状の尿酸塩とよく似ており注意を要する。) 病的。先天性プリン代謝異常症(APRT(アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)欠損症)。 尿アルカリ化は無効。 キサンチン 褐色 板状結晶および顆粒、尿酸塩に類似。 病的。キサンチン尿症。 腫瘍崩壊症候群の際の高尿酸血症予防のためアロプリノール(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)を投与したときに尿中に褐色のキサンチン結晶を認めることがある。 各種の薬剤結晶 薬剤により異なる。 ヨード造影剤、サルファ剤、ST合剤、アンピシリン、など、種々の薬剤結晶が尿中に見られることがある。複数の薬物が投与されていて、同定が困難なことも多い。
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