病害虫と獣害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:32 UTC 版)
本来、特に自生種は病害にも害虫にもそれほど弱くはないが、人為的に集中して植えられている場合や人工的に作られた品種はこれらに弱くなる場合もある。病害虫はサクラの密集地では互いに伝染し、集団発生する可能性がある。 サクラが多く罹る病気としては根頭がんしゅ病、根瘤線虫病、てんぐ巣病、膏薬病、うどんこ病などがある。 根頭がんしゅ病、根瘤線虫病は根や根の付け根辺りで瘤が発生する病気である。根元の土が踏み固められていると促進される。病気に罹るとすぐ枯れるわけではないが徐々に樹勢が削がれ、サクラが弱っていく。これらの病気は病変部位を切り取り、切り取った部分を殺菌し、表面を保護する塗布剤などで保護すること、土壌改良を行うことが有効である。対策を行えば少なくとも病気の進行は抑えられる。 てんぐ巣病は枝に発生し、枝が竹箒状になる病気である。この病変も徐々にサクラが弱り、全ての枝に広がると手遅れになりかねない。発見したら、休眠期を待ち、消毒した鋏や鋸で病変部位を切り落とすことが望ましい。切り落とした後は癒合剤などで回復を促し、剪定した枝は焼却、鋏や鋸も切った後すぐに消毒することが必要である。消毒の行われていないはさみを使うとそれを元に移る可能性もあるので気をつけるべきである。菌が原因であるので風通しを良くすることも対策になる。 膏薬病やうどんこ病については水気が多い場所や湿気の多い場所、あるいは病害虫が引き起こす。胴の部分に菌が入ったりキノコができることによって病気になる。病害虫は菌が入るための傷口を作ったり、傷口を広げるのに加担することが多い。風通しを良くすることや水気がたまらないようにすること、病害虫を駆除することによって病気を抑えることができる。 サクラによく付く害虫として、2012年(平成24年)以降に顕著な話題となっているのが外来種のクビアカツヤカミキリである。サクラに寄生する同カミキリの大量繁殖と食害の大きさから、各地でサクラ、特にソメイヨシノの大量伐倒に至っており、その被害の深刻さから、2018年1月に同カミキリが環境省より特定外来生物に指定された。これを受けて埼玉県環境科学国際センターではサクラへ寄生するクビアカツヤカミキリ対策を広く公開している。 他の害虫としてはカイガラムシ、アブラムシ、ハダニ、それにケムシ・イモムシの類ではハマキムシ、コスカシバ、オビカレハ、アメリカシロヒトリ、サクラケンモン、モンクロシャチホコ (w:Phalera flavescens) などが挙げられる。 ノネズミ、ノウサギ、ウソの食害も受けやすく、乾燥防止目的でサクラの根元に多くの敷き藁を施用したりクローバーなどの植栽をするとネズミの冬場の住みかと餌場になりやすい。また植えてから3年程度までにノウサギに食べられたり齧られると致命的な被害を受けることもある。これらには忌避剤を用いることで予防ができる。
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