甲州印伝とは? わかりやすく解説

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こうしゅう‐インデン〔カフシウ‐〕【甲州インデン】

読み方:こうしゅういんでん

《「甲州印伝」とも書く》⇒インデン


甲州印伝

【工芸品名】
甲州印伝
【よみがな】
こうしゅういんでん
【工芸品の分類】
その他工芸品
【主な製品】
印鑑入れ財布袋物ハンドバック
【歴史】
江戸時代末期に、現在の山梨県甲府市にあたる地域中心にして産地形成されました。江戸時代後期書かれた「東海道中膝栗毛」という滑稽本中には「腰に下げたる、印伝巾着きんちゃく)を出だし見せる」といった記述があり、当時から甲州印伝が、財布巾着等の袋物として人々の間で親しまれていたことがわかります
【主要製造地域】
山梨県
【指定年月日】
昭和62年4月18日
【特徴】
模様付けされた、柔らかく丈夫で軽い鹿の皮で出来た袋物は、使い込むほど手に馴染み愛着増します

印伝

(甲州印伝 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 14:39 UTC 版)

伝統的な模様の印伝革の財布
「印傳博物館」入口看板甲府市
印伝屋に並べられた印伝革の(甲府市)

印伝(いんでん)とは、印伝革の略であり、印傳とも表記される。鹿をなめして染色を施しで模様を描いたもので、武具や袋物などの製造に用いられる技法である[1][2]

名称は「インド度)来」にちなむ[1][2]とされる。

概要

鹿革と日本人の関わりは古く、奈良時代には皮革加工の技術(なめし、燻煙、染色)が進歩し、貢物として鹿革製の武具装飾品が献上された[2]。奈良時代のものとされる東大寺蔵の国宝「葡萄唐草文染韋」も鹿革を燻煙して製造され[2]正倉院宝物庫にも鹿革製の武具や馬具履物などが収められている[2]

16世紀から17世紀にかけての南蛮貿易では、オランダ東インド会社から「應帝亜革(インデヤかわ)」と呼ばれるインド産の装飾革が伝来[2]した。

印伝または印傳の名称は、江戸時代寛永年間)に日本へ来航した外国人から、インド産の装飾革が江戸幕府に献上された際に名付けられ[1]、のちに日本で国産化した製品が「印伝」と呼ばれるようになった[1][2]

印伝の技法は、昔は馬具武具甲冑の部材、胡禄(ころく、を入れて携帯する容器)、胴巻(どうまき、盗難を防ぐため金銭や貴重品を腹に巻き付け携帯する帯状の袋)、革羽織巾着銭入れ煙草入れなどの製造に用いられ、現代では札入れがま口下駄鼻緒印鑑入れ、ハンドバッグベルトブックカバーなどの製造に用いられる。

甲州印伝

甲州印伝(こうしゅういんでん)とは、山梨県伝統工芸品[1][3]。鹿革を原料とし、漆で紋様を付けることを特徴とする[1][3]

印伝は、江戸時代には日本各地で製造されていたものの、他産地では失伝したとみられ[1]、製法が現存するのは甲州印伝のみで、現代では山梨県伝統工芸として残る[1]。甲州印伝の起こりは、山梨県で漆置きによる紋様付けが始まった1710年宝永7年)頃[3]とされる。

甲州印伝は、鹿革を煙燻し黄褐色に染める「燻(ふすべ)」、型紙を使用して漆を置く「漆置き」と顔料で模様を付ける「更紗(さらさ)」、などの技法で模様付けされた後、縫製して製品に加工する[3]

甲州印伝は、1987年(昭和62年)4月に経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定[1][2][3]され、1994年(平成6年)10月に山梨県郷土伝統工芸品に指定[1][3]されている。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j やまなしの美技 - 甲州印伝”. 山梨県. 山梨県. 2025年9月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 歴史 - 印伝の世界”. 印傳屋. 2021年11月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 山梨県の伝統工芸品”. 帝京大学やまなし伝統工芸館. 帝京大学. 2025年10月28日閲覧。

関連項目

外部リンク



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