田中長兵衛 (2代目)
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二代目 田中 長兵衛(たなか ちょうべえ)は、明治から大正にかけて釜石や台湾北部など各地に鉱山を持ち、黎明期の日本鉄鋼業界で先駆的役割を果たした実業家。国内初の安定稼動する銑鋼一貫製鉄所を造った[注 1]。
注釈
- ^ 1901年(明治34年)に銑鋼一貫製鉄所として誕生した官営八幡製鐵所は、当初稼動が非常に不安定だった為に翌年停止。2年後の1904年(明治37年)に再開し本格的な操業に入る。釜石鉱山田中製鉄所は1887年(明治20年)に銑鉄の生産を始め、1903年(明治36年)より銑鋼一貫体制で継続稼動。
- ^ かっての京橋川に架かっていた京橋と紺屋橋間の北側。現在は「京橋大根河岸青物市場跡の碑」が建っている。
- ^ 以後、1917年(大正6年)に「田中鉱山株式会社」が発足するまで田中長兵衛の個人経営鉄道だった。
- ^ 東京府納税額:1911(明治44)年度2位[12]、1914(大正3)年度首位[13]。
- ^ 資本金二千万円。社長・田中長兵衛、専務取締役・横山久太郎、田中長一郎、取締役・香村小録、中大路氏道、監査役・吉田長三郎、高橋亦助。
- ^ その庭には朝鮮征伐の際に持ち帰られたと伝わる大きな庭石があった[14]。
- ^ 長兵衛邸は帝国図書館の設計にも関わった真水英夫の代表作の1つ[16]。
- ^ 長兵衛の妹・うたの二女、清の夫。
- ^ 監督・竹内久一、製作・長愛之。発起人総代は香村小録、田中金三郎[18]、秋山徳三郎の3名[19]。
- ^ このために200mのモダンなトラックを造り、従業員家族総出の大運動会となった。町の人々も見物に来て従業員共々大いに楽しんだとされるが、「高炉の鬼」と呼ばれた次長(技師長)・中田義算が会社の危機に遊んでいる場合ではないと激怒し、翌年以降の開催は無くなった。
- ^ その後の情勢変化で皇太子が訪れることは無かったが、この建物は令和の今も残っており、見学することができる。
- ^ 田中本店(本邸):京橋区北紺屋町十二番地、別邸:京橋区大根河岸十五番地[20]。田中家本邸は本店事務所と棟続きになっていた。初代長兵衛の時代は皆和服で江戸の商家然とした本店だったが、明治34年の初代逝去時には既に洋式の机や洋服に改められている。長一郎が結婚した明治40年に増築。震災当時の本館は三階建て、架橋で旧館と繋がっていた[21]。
- ^ 地上二階地下一階のこの邸宅は、後に東京消防庁第一方面本部として使用されるなどして1992年(平成4年)頃まで残っていたことが確認されている。
- ^ 台湾金瓜石鉱山の経営については後を継いだ長男の田中長一郎が現地に赴き調査検討。その結果1925年(大正14年)11月、株式会社化に際し金瓜石の経営を委任していた新興の事業家・後宮信太郎に株式を譲渡することとし、彼の創設した金瓜石鉱山株式会社に経営権が移譲された。
- ^ 釜石へは長兵衛と横山が行ったという定説の他、安太郎と横山を行かせたという説がある[33]。
- ^ 日本橋横山町の鐡屋・喜兵衛の下で修業した後、安政の頃に麻布飯倉で独立。
- ^ 実家は吉田家[38]なので養女か。松本市左衛門の妻・ハヤ(1865年生)も田中金次郎の妹と興信録にあるが、年が離れすぎるため金次郎の名を継いでいる可能性あり。
- ^ 以下に示す1865年(慶應元年)生まれの野村三四郎(本郷区駒込曙町十五)[42]は、よきの養父の家を継いだ養子か。茨城県の大地主、二代目・柳川宗左衛門の三男[43]で野村せいの養子に入る。浅草で小永井小舟に漢籍を学び東京法学院を経て大蔵省に出仕[44]。1901年頃より田中商店に入り[45]会計主任として勤める。1919年(大正8年)7月より田中鉱山株式会社監査役[46]。
- ^ 妹みつは田中時代の釜石製鐵所に入社し1937年に所長となる藤田俊三[51]に嫁ぎ、その二男・俊安が氏道の養子となった。
- ^ 長女・正(まさ、1878年生)の夫は養子・千澤平三郎[49]。次女・清(1883年生)の夫は釜石鉱山田中製鉄所の第二代所長・中大路氏道(1872年生)[50][注 19]。以下三女・長(1891年生)、四女・経子(1898年生)あり。
- ^ 田中鉱山(株)の監査役・横山金治[52](1875年生)の養父・横山政次郎は久太郎(1856年生)の兄または義兄か。政次郎自身も田中商店員[53]であり、その妻・さと(1857年生)は田中長右衛門の次女と記載あり。
- ^ 専之助の継母とら(1872年生)は有馬組・森清右衛門の養女[59]。
- ^ 日本橋区本石町三丁目一五[54]。長女・ちよ(千代子、1885年生)は大倉金庫店の萩原仙之助[55][56]へ、次女・染子は東京帝大冶金科を出て釜石製鉄所の技師長も務めた中田義算へ、三女・君子(1895年生)は呉服太物商を営む小川屋・小川専之助[57][58][注 22]へ嫁ぐ。四女・花子(1898年生)は伯父・横山久太郎の養女[60]となり渋沢虎雄を婿養子に迎えた。
- ^ 1917年の田中鉱山(株)発足時は監査役、2年後より取締役。妻・うた(1884年生)との間に長男・正(東大卒)、次男・健吉(京大卒)、三男・勇吉(米サウスダコタ州大卒)他、計七男一女あり[62]。四男・康吉(1913年生)は甥・横山長次郎(1880年生)の養子に入り横山家を継いだ[63][64]。
- ^ 1924年7月より三井傘下の釜石鉱山(株)取締役[65]。また従兄弟の横山長次郎が経営する参松製飴(株)の関連会社で1932年に設立された(株)三松商店の取締役にも就任[66]。同社監査役に叔父・吉田長三郎。
- ^ 小石川区会議員も4期務めた[68]。妻・岩崎キム子(1856年生)は石川安五郎の長女[69]。その他家族に岩崎ぎん[70]、三女・みき(1884年生)、その夫で婿養子の岩崎武治(1873年生)は福岡県、井上甚蔵の子で東京帝大工科大学の機械工学科を1898年に卒業[71][72]。1907年11月から1911年10月まで小石川区会議員も兼務した。清春は1912年没[73]。
- ^ 1910年(明治43年)7月に香村小録と共に台湾・金瓜石鉱山へ出張[74]。人事興信録によれば1915-1918年[75]の間に亡くなっている。スペイン風邪の可能性もあるが、株式会社化の際の役員に名が無いことから1917年4月以前に死没か。
- ^ 妻は田中金次郎の妹[77]ハヤ(1865年生)。
- ^ 東京帝大建築科卒。妻・花子(1898年生)は金子傳八の四女で横山久太郎の養女[80]。長女の智子は田中虎之輔の長男・一之助(1911年生)[81]の妻。次女の敏子は首都高速道路公団理事・中大路俊安(1912年、中大路氏道の妹みつの次男として生まれ氏道の養子となる)[82]の妻。
- ^ 会社所在地:京橋区木挽町5丁目1番地。1937年(昭和12年)12月に設立、資本金2万円[83]。他の取締役は神田秀男、長三の弟・長和、従弟の豊長、安子(妹)の夫・森太郎、以上4名。
- ^ 設立者は中田義算(初代社長)。高炉建設のための資金調達が難航する中、当時三鬼隆が社長を務めていた日鉄が支援した[84]。所在地:岩手県和賀郡和賀町藤根。1949年6月に資本金300万円で設立、後に8千万円[85]。
- ^ 工学士、東京瓦斯電気工業勤務[86]。その後トヨタ自動車へ移る[87]。
- ^ 関西の地方財閥、岩井財閥の中核を成す鉄鋼商社。
出典
- ^ 『日本紳士録』第1版 [明治22(1889)年]
- ^ 『大日本実業家名鑑 上巻』 たp.5 実業之世界社、1919年
- ^ 富士製鉄 1955, p. 44.
- ^ 三枝 1954, p. 37.
- ^ 「台湾震災救恤義捐金」『朝日新聞』、1906年4月12日、朝刊3頁。
- ^ 『産業之大日本』 東京商業興信所、1918年
- ^ 富士製鉄 1955, p. 478.
- ^ 『浅草区誌 下巻』 p.510 東京市浅草区 編、1914(大正3)年
- ^ 工業 1914, p. 16-17.
- ^ 「神宮用材 台湾阿里山の産 目下横浜陸揚中」『読売新聞』、1915年6月20日、朝刊5頁。
- ^ 田中長兵衛『大正人名辞典 3版』1917(大正6)年
- ^ 全国多額納税者『秋田名誉鑑 : 一名・秋田県直接国税拾五円以上納税名鑑』1912(大正1)年
- ^ 各府県多額納税者調『世の宝』1914(大正3)年
- ^ 千夜 1984, p. 117.
- ^ 香村 1939, p. 66.
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- ^ 香村 1939, p. 61-62.
- ^ 『日本紳士録 第12版』1908(明治41)年
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- ^ 『海商通報 (1099)』 p.9(田中長兵衛の項) 海商社、1905年12月
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- ^ 田中長兵衛『人事興信録』第4版 [大正4(1915)年1月]
- ^ 『人事興信録 4版』 や之部 p.99、1915年
- ^ 『人事興信録 第15版 下』 ヤ之部 p.10 (安野譲次の項) 人事興信所、1948年
- ^ 『繊維年鑑 昭和28年版』 p.373 繊維年鑑刊行会、1952年
- ^ 『人事興信録 第13版 下』 ヤ之部 p.41 (安野譲の項) 人事興信所、1941年
- 1 田中長兵衛 (2代目)とは
- 2 田中長兵衛 (2代目)の概要
- 3 年表
- 4 家族・親族
- 5 参考文献
- 6 関連項目
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