用益権の負担がある場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/20 22:59 UTC 版)
旧566条は売買等の有償契約の目的物が、他の占有を伴う物権(地上権・永小作権・地役権・留置権・質権)や登記をした賃借権の目的となっているため(同条第1項)、あるいは売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった、または、その不動産について登記をした賃貸借があったため(同条第2項)に、善意の買主が契約の目的を達成できない場合の担保責任について定めていた。第1項にいう「登記をした賃貸借」とは対抗力ある賃貸借を指し、借地借家法・農地法など特別法の規定により登記以外の方法で対抗力を備えている賃貸借においても担保責任を生じる(罹災都市借地借家臨時処理法による賃貸借につき最判昭32・12・21民集11巻13号2131頁を参照)。悪意の相手方(買主)は用益権による利用制限を予期しえた立場にあるため担保責任を追及できない。なお、厳密には上の第2項の場合は利用権が制限されているわけではない点で第1項の場合とは異なるが、責任の類型としては利用権が制限されている場合と同視しうることから1項が準用されていた。 契約解除権 相手方(買主)は契約の解除ができる(旧566条1項前段・2項)。 損害賠償請求権 損害賠償を請求できる(旧566条1項後段・2項)。 代金減額請求権の問題 用益権の負担がある場合の担保責任については、用益の制限による減価分を比例的に算出することは困難なため代金減額請求権は認められていない。なお、法律上の瑕疵について瑕疵担保責任ではなく本条によるべきとする説があった。 期間制限 相手方(買主)が事実を知った時から1年以内に行使しなければならない(判例として最判平4・10・20民集46巻7号1129頁参照)。判例によれば、この1年の期間制限は除斥期間を規定したものと解すべきであり、この損害賠償請求権を保存するには、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足り、裁判上の権利行使をするまでの必要はないとしていた。
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