産業遺産
歴史ある企業の資料館にはその企業が創業したときの製品や飛躍のきっかけになった製品などが展示してあります。来館者に経済や社会の発展に寄与してきた企業の姿をアピールすると同時に、製品が開発された時代背景、製品技術や製造技術の変遷なども学んでもらおうと工夫しています。社員にも先輩たちが苦労して築き上げた技術や製品に誇りを持ってもらおうという目的もあるようです。
このように産業界の先輩が残した業績を「産業遺産」と呼んでいます。これを国として指定し、地域の観光資源などとして地域活性化につなげようという試みが進んでいます。経済産業省が「産業遺産活用委員会」を立ち上げ、今年秋までに幕末から戦前の産業遺産を選定することにしています。
「各地に点在する産業遺産は建造物などの価値に加え、地域で産業、技術の発展に果たしてきた役割、そこを舞台に繰り広げられた先人たちの物語を象徴するもので、地域活性化の有益な『種』となり得る」と、ストーリー性を重視し、産業遺産を面でとらえるのが特徴です。
110周年を迎える日本機械学会も機械遺産を認定する計画です。歴史に残る機械技術関連の遺産を保存し、次世代に伝えるのが目的です。明治の初めころからの機械25件程度を認定し、8月7日の「機械の日」に認定式を行うことにしています。
情報通信技術の発達によって、経済のグローバル化が急速に進み、変化の激しい時代になっています。国でも企業でも「イノベーション」(革新)、「経営改革」と常に新たな変化を求めようと必死になっています。一方で、こんな時代だからこそ変わることのない自らのルーツを見つめ直そうという動きも出てきているのかもしれません。
(掲載日:2007/06/11)
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