生物学の学術的な研究のためのHTSの利用の増加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 08:24 UTC 版)
「ハイスループットスクリーニング」の記事における「生物学の学術的な研究のためのHTSの利用の増加」の解説
HTSは、比較的最近の技術革新で、主にロボット工学や高速コンピュータ技術の近代的な進歩を通じて可能になった。HTSの実験を実行するには、専門性の高い、高価なスクリーニング研究室が必要である。多くの場合、小、中程度のサイズの研究機関は自分で施設をもつのではなく、既存のHTS施設のサービスを利用する。この傾向は、創薬を学術的に研究する大学でみられる。 通常は、産業界にのみ見られるこれらの施設は、現在では、大学でもみられるようになってきた。 例えば、UCLAは、日常的に10万以上の化合物を1日にスクリーニングすることができる分子スクリーニング共有リソース(Molecular Screening Shared Resources MSSR、UCLA)のオープンアクセスのHTS研究室を備えている。オープンアクセスのポリシーは、世界中から研究者が長い知的財産交渉なしに、この機能を利用することができるようになることである。MSSRがもつ20万を超える小分子の化合物ライブラリーは、アメリカ西海岸のすべての大学の中で最大である。MSSRは(ゲノムワイドsiRNA、shRNA、cDNAおよびCRISPR)などの小分子を備え、遺伝子の機能を調べるゲノムワイドスクリーニングを実行するためにHTSの機能を活用できる。ハイスループットの小分子スクリーニングとゲノムワイドスクリーニングを両方使用することで、疾患または小分子に対する標的の同定および検証が可能になる。 単一のsiRNAまたはcDNAを含有する、「並べられた」機能的ゲノムライブラリー("arrayed" functional genomics libraries)を使用することによって正確な結果を得ることができる。機能ゲノム学は、典型的には、ハイコンテントスクリーニングと対になっている。ハイコンテントスクリーニングは落射蛍光顕微鏡法 や、レーザー走査サイトメトリーを使用する。ミネソタ大学と同様にイリノイ大学はまた、HTSのための施設をもつ。ミシガン大学の生命科学研究所は、ケミカルゲノミクスセンターにHTS施設を併設している。ロックフェラー大学には、165,000を超える化合物のライブラリーを備えるオープンアクセスのHTSリソースセンターHTSRC(ロックフェラー大学、HTSRC)がある。ノースウェスタン大学のハイスループット分析研究所は、標的同定、バリデーション、アッセイ開発、および化合物スクリーニングをサポートしている。非営利Sanford Burnham Prebys Medical Discovery InstituteはまたHTS施設をもつ(the Conrad Prebys Center for Chemical Genomics の一部)。米国のNational Institutes of Health(NIH)は、生物学的研究で使用するための革新的な化学ツールを製造するための小分子スクリーニングセンターの全国コンソーシアムをつくった。
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