生物学の材料として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 02:10 UTC 版)
変形菌は、生活環の中で巨大多核細胞である変形体を含むさまざまな状態に変化するため、細胞サイクルや分化、原形質流動、細胞骨格、運動、有性生殖などさまざまな研究の材料として用いられている。特にモジホコリ (Physarum polycephalum) やゴマシオカタホコリ (Didymium iridis) は容易に培養できるため培養法が確立されており、モデル生物として利用されている (右図10a)。 ただし、20世紀後半以降、細胞集合や細胞分化、細胞間シグナルなどの研究に利用できること、また分子生物学的手法をより適用しやすいことなどから、細胞性粘菌のタマホコリカビ類 (特にキイロタマホコリカビ) がモデル生物としてより多く使われている。そのため、変形菌 (真正粘菌) と細胞性粘菌が混同されることがあり、注意が必要である。 モジホコリの変形体を用いた研究では、迷路や路線図の最短経路を形成する実験が行われ (右図10b)、中垣俊之らが2008年、2010年にイグノーベル賞を受賞している (→「粘菌コンピュータ」を参照)。このような変形体の反応は、さまざまな計算幾何学や最適化問題に向いており、最小全域木、巡回セールスマン問題、最適平面グラフなどに有効である。またモジホコリの変形体を回路としたロボットも開発されている。
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