生来的犯罪人説とは? わかりやすく解説

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生来的犯罪人説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 15:49 UTC 版)

チェーザレ・ロンブローゾ」の記事における「生来的犯罪人説」の解説

ロンブローゾが行った研究のうち最も著名な成果は、1876年上梓された『犯罪人論(L'uomo delinquente)』である。全3巻、約1,900ページにも及ぶこの大著において、彼は犯罪に及ぼす遺伝的要素影響指摘したかねてより天賦の才能」についての研究行い、『天才狂気Genio e follia、1864年)』などの著作世に問うていたロンブローゾは、骨相学観相学人類学遺伝学統計学社会学などの手法を動員し人間身体的精神的特徴犯罪との相関性検証した。彼は処刑され囚人遺体解剖頭蓋骨大きさ形状丹念に観察した解剖され頭蓋骨383個にのぼる。また、刑務所精神病院で3,839人の受刑者容貌骨格を、兵士のそれと比較したこうした多大な労力費やした末に、彼は「犯罪者には一定の身体的精神的特徴Stigmata)が認められる」との調査結果得たロンブローゾ身体的特徴として「大きな眼窩」「高い頬骨」など18項目を、また精神的特徴として「痛覚鈍麻」「(犯罪人特有の心理表象としての刺青」「強い自己顕示欲」などを列挙した彼によれば、これらの特徴人類よりもむしろ類人猿において多くみられるものであり、人類学的にみれば、原始人遺伝的特徴隔世遺伝atavism)によって再現したいわゆる先祖返り説明することができる。また、精神医学的見地からは悖徳狂と、病理学的見地からはてんかん症と診断される。そしてこれらの特徴をもって生まれた者は、文明社会適応することができず犯罪手を染めやすい、即ち将来犯罪者となることを先天的に宿命付けられ存在であると結論付けた。これが「生来的(生来性)犯罪人説」である。こうした彼の立論背景には、当時流行していた ダーウィニズムへの傾倒があった。発表当初は、犯罪者の約70%が生来犯罪人であるとしたが、のちにその数値を約35 - 40%に下方修正した。 なお、学術用語としての犯罪者」は、法律上の罪を犯した者を指す法学的・社会学的概念であり、「犯罪人」は、法律上の罪を犯したか否か関わらず、その素質(即ち上記のような身体的精神的特徴)を有する者を指す生物学的概念である。

※この「生来的犯罪人説」の解説は、「チェーザレ・ロンブローゾ」の解説の一部です。
「生来的犯罪人説」を含む「チェーザレ・ロンブローゾ」の記事については、「チェーザレ・ロンブローゾ」の概要を参照ください。

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