生態系サービス劣化の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 21:04 UTC 版)
「ミレニアム生態系評価」の記事における「生態系サービス劣化の影響」の解説
過去の生態系の改変は、環境破壊と人間生活の改善や経済的発展とのトレードオフであった。その結果、現在では生態系サービスの劣化と、その劣化が急激に悪化(非線形変化)する危険性の増加、人類グループ間の格差の増加をもたらしている。これら現状を放置した場合、人類の将来世代が生態系から得る利益は減少すると推定される。 生態系サービスの劣化と持続不可能な利用の実態 1950年代から生態系サービス24種類のうち、15種類(62.5%)が劣化したか非持続的(収奪的)に使用されてきた。逆に向上したものは食糧生産3種類(穀物生産・畜産・養殖漁業)と陸上生態系の炭素固定の4種類であった。食糧生産については農地造成・施肥・養殖用えさの漁獲など、他の生態系サービスを劣化させる原因を含んでいる。 生態系サービスの劣化は経済的被害をもたらすことがある。漁獲量の減少による漁業者の失業、その失業対策費や、森林伐採による気候・保水性の変化に伴う洪水被害増加などが例として上げられる。 生態系サービスの劣化は広範に影響する。温室効果ガスの排出を伴う生態系の改変などがその例である。 生態系の非線形変化する危険性の増加 水系生態系の富栄養化によるブルーム(クラゲや藻類の大量発生・赤潮など)や、水産資源乱獲による漁業の破綻、森林破壊による新規感染症の流行などが、生態系が臨界点を超えて変化した場合に起きる非線形変化の例として知られている。 人類グループ間の格差増加、一部の貧困化 一人当たりの食糧は増産されてきているが、栄養失調人口は1990年代後半に比べ2000年代前半でも増加している。特にサブサハラ(サハラ砂漠以南)地域などに栄養不足の人が多い。 生態系サービスの劣化(特に食糧・飲料水供給)は貧しい地域の人間を襲い、また貧困の原因(収入源の毀損)ともなっている。
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