生態系・人間生活への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 00:24 UTC 版)
「クリ胴枯病」の記事における「生態系・人間生活への影響」の解説
クリ類は萌芽力が高く、根さえ残っていれば芽を出して再生する。また、この病気は根の組織を侵さないために、発病し枯死したように見えても個体としての死には至らず萌芽で再生することが可能である。実際にアメリカの森林ではこのようにして若いクリとなって多数が残っていると言われている。このようなクリはある程度大きくなると病原菌の再感染を受け再び枯死する。このような状態を繰り返すだけでは十分な果実や木材が供給されずそれを利用して生きているものには影響があると考えられる。実際にアメリカではクマに対する影響の研究がいくつか報告されている。 また、クリの木材は非常に腐りにくいために各分布地では各種の建築や鉄道の枕木に使われる。日本の国鉄の資料ではクリ材を使用した枕木の寿命は防腐加工なしでも10年弱になるという報告もある。特にアメリカグリはクリ属の中でも最大級になる種で、現地では他の広葉樹以上に高値で取引されていた。しかし胴枯病の蔓延によって優良大径木は姿を消し、稚樹は前述のように満足に育たずクリ材の市場は崩壊した。(腐りにくいために現在も再生材などの形で手に入れることは可能なようである。)クリ材が腐りにくいのは材に豊富に含まれるタンニンによるとされる。アメリカでは皮をなめすのにクリ由来のタンニンが使われていたが、胴枯病の蔓延はこの市場も壊すなど意外なところに影響が出ることになった。
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