生態学的な帰着
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 14:16 UTC 版)
陸上生態系では、1972-73年エルニーニョ現象の後チリ北部およびペルー海岸の砂漠沿いでげっ歯類の突発的増殖が観測された[要出典]。一部の夜行性霊長類(ニシメガネザルとスンダスローロリス)とマレーグマ はこれらの消失した森林内で局所的に絶滅したか大幅に数が減少した。鱗翅目の突発的増殖はパナマとコスタリカで文書化された[要出典]。1982-83,1997-98,2015-16年のENSO現象では、熱帯林の大規模拡大が長期間の少雨を経験して広範囲に火災が発生し、アマゾンとボルネオの森林では森林構造と構成樹木種が劇的に変化した。ただし、2015-16年のエルニーニョ期間では極端な干ばつおよび森林火災後に昆虫個体数の減少が観察されたため、その影響は植生だけに留まらない。アマゾンの焼失森林では、特殊な生息地にいたり環境の乱れに敏感な鳥類や大型哺乳類の減少も見られ、ボルネオ島の焼失した森林では100種以上の低地蝶種の一時的な消失が起こった。 最も危機的なものでは、世界規模の大量サンゴ白化現象 が1997-98年と2015-16年に記録され、生体サンゴの約75-99%に及ぶ損失が世界中で記録された。ペルーとチリのカタクチイワシ科個体数崩壊にも相当な注意が払われ、1972-73,1982-83,1997-98年そして近年では2015-16年のENSO現象後に深刻な漁業危機を引き起こした。特に1982-83年の海面温度上昇はパナマで2種のヒドロサンゴが絶滅した可能性があり、チリでは海岸線600kmに沿って昆布床が大量に死亡、これは20年経っても昆布および関連の生物多様性が最も影響を受けた海域となったが徐々に回復した。これら全ての調査結果から、エルニーニョおよびラニーニャを引き起こすENSOは世界中の生態学的変化(特に熱帯林やサンゴ礁における生態学的変化)を後押しする強大な気候力だと捉えられている。
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