生態学的意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:30 UTC 版)
掃除魚の存在が生態系に与える影響の程度は、個々の環境によって異なると考えられている。主に熱帯のサンゴ礁域において、掃除魚を一時的に環境から取り除く、あるいは新たに追加することで、魚類の行動や多様性に生じる変化を観察する実験が行われているが、その結果はさまざまである。 カリブ海で実施された掃除魚の除去実験では、ホストとなる魚類の減少と寄生虫感染の増加が認められた。一方、ハワイでの同種の実験ではそのような変化はみられず、グレート・バリア・リーフでの6ヶ月にわたる実験でも、魚の数や種類に影響は観察されなかった。しかし、紅海およびオーストラリアの小規模なサンゴ礁においては、短期的な変動こそなかったが、18-20ヶ月後には魚類の多様性が著しく低下することが示されている。 紅海とオーストラリアでの長期実験で最も強く影響を受けていたのは、サンゴ礁の多数の生物に影響を与えるであろう大型の遊泳性魚類であった。掃除魚はサンゴ礁に大型魚を呼び寄せ、それに伴う多様な生態系を維持するためのキーストーン種として機能し得ることをこの結果は示している。
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