生態学的環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 07:14 UTC 版)
アンデス文明を理解するためには、アンデス地域の生態学的環境を理解する必要がある。この世界的にも独特な生態学的環境は、アンデス文明の発展と深くかかわっているからである。 アンデス地域、特に中央アンデス地域(現在のペルー共和国とボリビア多民族国北部)は、非常に多様な生態学的環境をもっている。南北に長く、東西に狭い地域に標高が高い山々が密接して連なるため、限られた地域に多様な生態系が存在する。ハビエル・ブルガル・ビダルは、アンデス地域をその生態学的環境と先住民による区分をもとにして、8区に分けた。 それは、 海岸砂漠地帯のチャラ、 山間および海岸地帯に広がる熱帯地域のユンガ、 おおよそ標高3000mくらいまでのキチュア、 標高4000mくらいまでの高原地帯のスニ、 さらに4800mくらいまでの草原地帯のプナ、 それ以上の氷雪地帯を含むハンカ、 アンデス山脈の東側のアマゾン地帯を、 1000m以下のオマグワ、 それ以上のルパ・ルパに分けている。 これら生態学的環境の差は、それぞれに地域で行われる生業にも影響を及ぼしており、ユンガ地帯は熱帯産の作物や果物類が、キチュア帯ではトウモロコシも含む多く栽培種が、スニではほとんどの栽培種が育たないためジャガイモなどの塊茎類とキヌアなどの雑穀が主として栽培されている。プナはおもに牧畜に利用されている。 また、これらの異なる生態学的環境を一集団や家族単位で同時に保有し、利用を行っており、これがアンデスの文化の特徴のひとつとなっている。
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