生態学的な危機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 14:09 UTC 版)
生態系は環境の変化によって大きな損害を受けることがあるが、ある程度の摂動や攪乱であれば回復力によって徐々に原状に近い状態へと回復する。こうした様子は二次遷移と呼ばれ、遷移が頂点に達すると極相と呼ばれる安定した状態となる。しかしながらある一定の限度(閾値)を超えると生態系が大きく損なわれ、原状回復が困難となる。過去においては地球規模の環境変化によって大規模な生態学的危機が起こり、幾度か生物の大量絶滅が発生している。これまでの大量絶滅は大陸移動による気候の寒冷化や温室効果の消失、巨大隕石の衝突といった自然現象によるものだったが、人類がその活動を活発化させるに伴い生態系の破壊が進み、人類活動によって大量絶滅期が引き起こされている。こうした影響を最小限にとどめるため、持続可能性に基づく持続可能な開発の概念が提唱されている。 1986年、チェルノブイリ原子力発電所で発生したメルトダウン事故では、放射線への大量被曝の影響を受け、多くの人々と動物が癌によって死亡し、多数の奇形が発生したと報告されている。現場周辺の土地は、事故により生じた多量の放射性物質のため、現在では放棄されている。 2012年6月6日、地球の生態系は気候変動、人口増加、環境破壊の要因により、今後数世代で崩壊し、その転換点が今世紀中に訪れるという報告が『ネイチャー』に発表された。しかし、持続不可能な成長パターン、資源の消耗などを止めることで回避することは可能としている。
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