現代論理学の興隆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:41 UTC 版)
14世紀から19世紀初めの間の期間は概して衰退と否定の時期であり、論理学史家によって一般に不毛期とみなされている。論理学の復活は、19世紀半ば、論理学が数学で用いられる正確な証明法を範とする厳密で形式的な学科へと発展する革命期に起こった。この時期の現代のいわゆる「記号」または「数理」論理学の発展は論理学2000年の歴史の中で最も顕著なものであり、人類の知性の歴史の中で最も重要で注目すべき出来事だと言える。 数多くの特徴によって現代論理学が旧来のアリストテレス論理学や伝統的論理学から区別されるが、中でもとくに重要なものは以下: 現代論理学は根本的には「計算」であって、この計算を遂行する規則は、用いられる記号の「意味」によってではなく、数学と同様に記号の「形式」によって決まる。現代論理学者は、真に数学的な結果に関して論争が長引くことがないという数学の「成功」に強く影響されている。ラプラスが定積分の計算を間違えたために月の軌道に関する誤りが起き、それが50年近く存続したとしても、誤りがひとたび見つけられると大きな論争を起こすことなく正されるとC・S・パースは述べている。パースはこれを伝統論理学にまつわる不確かさと、そして特に形而上学における推論と対比させているのである。真に「正確な」論理学は数学的な、つまり「図式的」・「記号的」な思考に基づくと彼は主張した。「こういった方法に則る者たちは[...]ひとたび疑われるとすぐに正されるものを除いてあらゆる誤りから免れるだろう。」 また、現代論理学は「抽象的」であるよりもむしろ「構成的」である; つまり、自然言語(あるいは妥当性に関する心理学的直観)から導き出した一般原理を抽象化・定式化するよりもむしろ、形式的な方法によって一般原理を構成し、その後に自然言語における解釈を模索するのである。これは完全に記号的である、つまり(中世論理学者が共義語と呼んだ)論理的に不変なものと自義語の両方が記号で表される。最終的に、現代論理学は心理的・認識論的・形而上学的な問いを堅く退ける。
※この「現代論理学の興隆」の解説は、「論理学の歴史」の解説の一部です。
「現代論理学の興隆」を含む「論理学の歴史」の記事については、「論理学の歴史」の概要を参照ください。
- 現代論理学の興隆のページへのリンク