現代連句
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 03:21 UTC 版)
しかし現代に至るまで主流のこうした伝統的なものに飽き足らず、近代から現代には、様々な形式のものが工夫されつつある。 伝統的連句を脱する現代連句では、非定型、非定律、無式目のものから、句の独立・非独立性のものまで容認し始めている。それは現代詩に似たもののように一見できるが、飽くまで、複数の吟者が、短い句章の付け合いに、触発の文芸的意義を見出すのであるから連句の部門に留まる。よって意図された、結語への計画性ある(予定調和への)作法の、個人の詩や、複数吟者の連詩(長い句章も含む、また単に[賦]の並べ)とは異なる。勿論、用語やリズムは従来の、五七調や文語調のみならず、破調や口語も用いられる。 連句の文学的意義は、一つは調和(先述)、一つはその漂泊性にある。後者は極論すれば、隣接する二句にのみ責任があり、二句の付合が生命であるから、小説のようには筋がなく、或いは意図された詩のような合目的的でもなく、全体の運行は即興・自在に進められ、結末も意図されない、つまり、全てに於いて予定調和しないことにて、それでいて表現の綾や通奏低音の響きの浮揚による巧みな表現性などをもって文学作品となることを特徴とする。この観点から伝統的連句を顧みると、浮揚・漂泊性の姿はほぼ充足するといえど、その本質の、予定調和しない完全漂泊という重要な意義に対しては、その式目や定座の取り決めなど厳しく習慣するので、つまり型に嵌った規制・マンネリ化の姿の為、満足されていないといえよう。
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