現代の水理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
1950、1960年代にかけて、電子機器の発達により計測機器などの性能が向上し、また、アメリカの国家航空諮問委員会による風洞実験が盛んに行われた。しかし、これらはそのほとんどが統計乱流理論に基づくもので、「流れ場の変動に対して統計的処理を行えば乱流構造が解明できる」との認識に基づいていた。そういった意味でこの時代は皮肉的な意味合いをこめて「点計測の黄金時代」と呼ばれる。 その後、1967年にスタンフォード大学の研究グループが「バースト現象」と呼ばれる現象を発見した。これは、「組織乱流」とも呼ばれ、その名の通り組織だった乱流であり、当時の認識であった「乱流とは完全にランダムである」という定説を覆した。そしてこの組織乱流に関する話題は、コンピューターを用いた数値流体力学の発展と共に、現在も研究が盛んに行われている分野である。 また、アメリカでは、カルマンが1930年にアメリカのカリフォルニア工科大学の教授となり、ハンス・アルベルト・アインシュタイン、ハンター・ラウス(英語版)、アーサー・トーマス・イッペン(英語版)らがその元で研究を行いアメリカにおける水理学・流体力学は大きく発展した。 現代における水理学について、ラウスは自身の著書『水理技術者のための流体力学』(Fluid Mechanics for Hydrauclic Engineers)の中で「経験則のみに頼った水理学・河川工学ではなく、流体力学的な観点が必要である」と主張している。古くから経験的に体系付けられてきた水理学は、1950年代以降になりようやく流れの基礎であるナビエ・ストークス方程式に立脚した研究が行われるようになり、1980年代からは水理学・水工学で重要な開水路における乱流の研究がなされてきた。このように、現在の水理学の分野ではこうした流体力学のもとで体系化がなされている。
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