現代の歩兵と塹壕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 04:52 UTC 版)
現代戦でも、歩兵は拠点の制圧や防衛に欠かせない兵科として運用されている。拠点を精密に攻撃する兵器の登場により、格好の標的とされやすい要塞やトーチカは、歩兵の防御戦闘ではかつてに比べ意義を大きく減じている。逆にそうした兵器は、広範囲に分散して塹壕に潜む歩兵部隊に大きな損害を与え難いとされる。 核爆発ですら、防護服に身を包んで広範囲の塹壕に散らばる歩兵を、完全に一掃するには至らない。そもそも、分散した歩兵大隊を倒すのに、戦術核兵器を幾つも使用することは、費用対効果の面で非常に無駄が多く、仮に制圧できたとしても、使用後に放射能汚染を残すため、その地点は使用不可能となる。また、核兵器を実戦で使用すれば、国際社会から激しい非難を受けることは免れず、戦争を継続する大義が失われてしまう。 その一方で、高威力で放射能汚染が無く、戦術核と比較しても安価な燃料気化爆弾の登場は、次第にこれら塹壕の存在意義を脅かしつつある。この爆弾は、広範囲に大幅な気圧の変化を伴う衝撃波を発生させ、塹壕内の兵士を圧死させてしまう。近距離では莫大な熱量を瞬間的に発生させるため、これによる被害も大きいとされる。 なお1990年代の湾岸戦争において、援護されたドーザーブレードを装着した戦車により、イラク軍の塹壕をそのまま埋め立ててしまう作戦が行われた[要出典]。この作戦は塹壕戦における新しい脅威とも言えるが、逃げ遅れたイラク兵の一部が生き埋めとなったという報告があることから、人道上において忌み嫌われる「戦争行為を逸脱した残虐な殺害」に当たるのではないか、とアメリカ合衆国で議論となった。 陸上自衛隊では、塹壕や掩体壕を構築するための掩体掘削機を配備している。
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