特発性肺線維症に関する臨床試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 18:40 UTC 版)
「ピルフェニドン」の記事における「特発性肺線維症に関する臨床試験」の解説
IPFに対するピルフェニドンの有効性ついては3本の第III相無作為化二重盲検偽薬対照(英語版)臨床試験が実施された。 一つ目の試験はピルフェニドンのIPFに対する有効性と安全性を確認するための試験であり、日本で実施された。多施設共同無作為化二重盲検試験であり、275名のIPF患者がピルフェニドン1800mg/日群(110名)、1200mg/日群(56名)、偽薬群(109名)に割り付けられ、52週間投与された。ピルフェニドン1800mg/日群および1200mg/日群では偽薬群に比べ、ベースラインからの肺活量の低下量の平均値が減少した。無増悪生存期間も偽薬群に比べてピルフェニドン群で改善した。 CAPACITY試験(004および006)は欧州、北米、豪州の計11ヶ国で実施された無作為化二重盲検偽薬対照第III相試験であった。IPF患者は経口ピルフェニドン群または偽薬群に無作為に割り付けられ、最低72週間の間薬剤を投与された。004試験では、ピルフェニドンは肺活量(FVC)低下を有意に減少させた(p=0.001)。72週後のFVCの平均変化量はピルフェニドン2403mg/日投与群で-8.0%(標準偏差(SD):16.5)、偽薬群で-12.4%(SD:18.5)で、その差は4.4%(95%信頼区間:0.7〜9.1)であった。10%以上肺活量が低下した患者は、ピ群で174名中35名(20%)、偽群で174名中60名(35%)であった。006試験では、72週投与後のFVC変化量には有意差が付かなかった(p=0.501)。FVC変化量の平均値はピ群で-9.0%(SD:19.6)、偽群で-9.6%(SD:19.1)で、その差は0.6%(95%信頼区間:-3.5〜4.7)であった。 2014年5月、ASCEND試験(第III相試験)の結果が公表された。ASCEND試験は無作為化二重盲検偽薬対照試験であり、555名の患者が登録された。ピルフェニドンは有意にIPFの進行を抑制し52週投与後の肺活量の低下を減少させ(順位ANCOVA p<0.000001)、それ以前の臨床試験の結果が裏書きされた。それに加えて、重要な副次的評価項目(投与6ヶ月時点での歩行距離変化量:p=0.0360 および無増悪生存期間:p=0.0001)でも有意な治療効果が認められた。予め定められていたASCEND試験とCAPACITY試験(52週時のデータ)の併合解析(患者1247名)では、ピルフェニドン群で全死亡リスクが48%減少した(ハザード比=0.52、ログランク検定:p=0.0107).。 コクランレビューは、ピルフェニドンはIPF患者の無増悪生存期間を改善し肺機能への弱い効果があると思われる、と結論付けた。成人IPF患者を対象に非ステロイド系薬剤を偽薬またはステロイドと比較する無作為化試験が評価された。4本のピルフェニドンの偽薬対照試験で計1155名の患者が登録された。メタアナリシスの結果、ピルフェニドンは病勢進行のリスクを有意に30%低下させた。加えて、日本の臨床試験2本をメタアナリシスした結果、ピルフェニドンが偽薬に比べて肺活量の変化量を良好に制御していることが確認された。
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