特殊な検出器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 23:27 UTC 版)
「ガスクロマトグラフィー」の記事における「特殊な検出器」の解説
ECD(Electron Capture Detector, 電子捕獲型検出器) 63Niなどのβ線源を用い、親電子性化合物を極めて鋭敏に検知するものである。キャリヤーガスとして通常は窒素を用い、検出電極部で窒素にβ線を当てて電子を放出させる。この状態を基準電圧とする。親電子性化合物が検出部を通過すると電子は親電子性化合物に吸着され、これを補償するために電極部に補償電圧がかかる。この補償電圧を検出することによって親電子性化合物を検出する。特に超微量のハロゲン化合物やニトロ化合物の検出に威力を発揮し、ダイオキシン類やPCBの定性・定量やニトロ化合物を有する爆薬などの感知(テロ防止など)に用いられる。欠点としては、β線源を必要とするために放射性物質特有の注意・管理が必要であることが挙げられる。 FPD(Flame Photometric Detector, 炎光光度検出器) 物質を水素炎中で燃焼することによって発生する光を検知するものである。FIDと原理は似ているが、FPDは燃焼によって発生する特定波長の光を感知することによって検知している。水素の還元炎中で硫黄化合物が燃焼すると394nm、リン化合物が燃焼すると526nmの光が発生する。バンドパスフィルタを通すことによってこれらの波長の光のみを光電管に当て、発生した電流を検知する。リン化合物や硫黄化合物、スズ化合物の分析に用いられる。あまり感度が高くないことが欠点である。 特殊な例として、ガスクロマトグラフと質量分析装置を直結した GC-MS(ガスマス)がある。ほぼあらゆる物質を検知でき、クロマトグラムとマススペクトルが同時に得られるため、各ピーク成分の同定がきわめて容易となり、特に有機化学の分野で多用されている。また、ガスクロマトグラフとフーリエ変換赤外分光器を直結した GC-FTIR も各ピーク成分の同定の目的で使用される。ただしGC-MSと比べると相当感度が低い。
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