特定行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 17:40 UTC 版)
上記の救急救命処置のなかで、一部のものは特定行為として制限されている。特定行為を行う際には、オンラインメディカルコントロールにより、医師の具体的な指示を受けなければならない(救急救命士法第44条)。すなわち、救急救命士が現場にて特定行為の適応であると判断した場合、地域のメディカルコントロール担当医師に電話などで直接指示を要請し、その医師の指示に従って処置を行うということである。ただし東日本大震災に伴う救援活動の際には、通信事情の問題から、医師の具体的指示が得られない場合、特定行為を行うことの違法性は阻却され得るとの見解が、厚生労働省医政局によって示された。 指示を出す医師に医師免許以外の資格は必要ないが、主に地域メディカルコントロール体制下で、指導医またはメディカルコントロール医師(MC医)が指示を出すことになる。 以下に、医師の具体的指示を必要とする救急救命処置(特定行為)を挙げる。 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液心臓機能停止または呼吸機能停止状態の傷病者が適応 器具を用いた気道確保食道閉鎖式エアウェイまたはラリンゲアルマスクを用いた気道確保 該当行為認定取得者による気管挿管(2004年より) 薬剤投与「薬剤投与認定」取得者によるアドレナリン(エピネフリン)投与(2006年法改定より) 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保及び輸液(2014年より)心肺機能停止状態でない重度傷病者であって、ショックが疑われる又はクラッシュ症候群が疑われる若しくはクラッシュ症候群に至る可能性がある場合が対象。 ブドウ糖溶液の投与(2014年より)心肺機能停止状態でない重度傷病者であって、血糖定により低血糖状態が確認された場合が対象。 従来の特定行為は、心肺停止状態の傷病者でなければ行うことができなかった。しかし、平成26年4月1日の救急救命士法施行規則の改正に伴い、心肺停止前の静脈路確保及び輸液、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与が認められた。 かつて、自動体外式除細動器による除細動を行うには医師の具体的指示が必要だったが、2003年の救急救命士法施行規則第21条改正により包括的指示(事前に定められた手順に確実に従うことで、具体的指示に代えること)で可能とされた。 これら特定行為の拡大は、2001年秋田市消防本部の救急救命士が日常的に気管挿管を実施していた実態が判明したことが契機となっている(その後他県でも同様の実態が判明)。詳しくは気管挿管#問題を参照。
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