燃料としての利用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 21:43 UTC 版)
「バイオマスエタノール」の記事における「燃料としての利用法」の解説
バイオマスエタノールを内燃機関の燃料として利用する場合、エタノールのみで利用することもガソリンなど他の燃料と混合して利用することもできる。一般的に、ガソリンと混合した場合、エタノールの混合比率によって「Exx」(xxは百分比で表したエタノールの混合量)と表記される。例えば、E10とはエタノールを容積比で10%含む混合燃料である。このほか、エタノール混合燃料ではないが、バイオマスエタノールから生成されたエチルターシャリーブチルエーテル (ETBE) という添加剤をガソリンに混合したものも広い意味ではバイオマスエタノールの燃料利用の一形態とされている。 バイオマスエタノールを燃料とする内燃機関は、構造的には純粋なガソリンを燃料とするものと同じで差し支えない。とくにエタノールを低濃度で混合した燃料の場合、純粋なガソリンを燃料として利用することを前提とした内燃機関で燃焼させても問題が生じないとされる。とくに対策を講じることなしにどの程度のエタノール混合まで許容できるかは社会にどのような内燃機関が存在しているかに左右されるため、一概に線を引くことはできない。例えば、米国で現在走行しているガソリンエンジン自動車についてみるとE10までは許容できるとされており、米国の一部の州ではE10の販売が義務付けられている。また、現在ブラジルで販売されている標準的な自動車用エタノール・ガソリン混合燃料は、E20である。これに対し、日本では総合資源エネルギー調査会燃料政策小委員会が、2003年6月25日にエタノールは混合率3%まで (E3) なら自動車に使っても安全という結論を出している。 エタノールの混合比率が高くなると、内燃機関の圧縮比や燃料への点火システムなどを調整しないと十分な性能が得られない。これは、エタノールはガソリンと比べノッキングを起こしにくい反面、容量1単位あたりの熱量が低いことに起因する。また、エタノールの腐食性への対策も必要である。ブラジルではこのような対策を施し、純粋エタノールから純粋ガソリンまでどのような混合比の燃料を利用しても十分な性能が得られる自動車(「flexible-fuel vehicles」と呼ばれている)が販売されており、近年では国内自動車販売のほとんどを占めている。 なお、バイオマスエタノールをガソリンと混合して内燃機関の燃料とする際には、エタノールとガソリンが相分離することを防ぐため、水分が混入しないようにしなければならない。これに対し、エタノールのみを内燃機関の燃料として利用する場合 (E100) にはある程度の水分が残存していても差し支えなく、実際、ブラジルで販売されている純粋エタノール燃料はエタノール蒸留後の脱水工程を省いたもので、5 %程度の水分が含まれている。 秋田県が実証実験に用いているバイオエタノールも含水(バイオエタノール水:99.5vol%)である。走行実証実験にはダイハツが開発した「2燃料自動車」(DFV)を用いている。バイオエタノール水とガソリンの2系統を備え、起動時はガソリンのみ、定常運転時にバイオエタノール水を使用することで、ガソリンタンク内での相分離を回避している。
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