燃料およびCRDの自動交換機を初採用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 23:11 UTC 版)
「福島第一原子力発電所5号機の建設」の記事における「燃料およびCRDの自動交換機を初採用」の解説
燃料装荷と並行して運転員を要請するため、5号機中央操作室では試験直を5直3交替制で1977年6月18日より実施した。この際は東芝も直体制を敷き、常時3名が詰めていたという。 起動試験時の最初の工程が核燃料の装荷であり、1977年7月2日より開始された。本機は燃料棒自動交換装置を使用して燃料を装荷したため、運転員の肉体的、精神的負荷を大幅に軽減することが出来、定期検査時の被曝量低減にも大きな効果があることが確認された。そもそも、各燃料集合体は一律に均一のタイプを数百本装荷している訳ではなく、当時は濃縮度、ガドリニウムの有無による3種類のタイプを混用して配置することで運転中の出力分布の管理に役立てていた。その各燃料集合体を使用済み燃料プールから取り出し、クレーンにより運搬する燃料の位置決め、速度制御等をコンピュータで予めプログラムした通りに動かすのが自動交換機の役割である。従来の燃料交換機は手動式で、熟練した運転員が1~2名の補助員と組んで、目視によって計画的な燃料の挿入、交換、配置換えを実施していた。使用済みの燃料集合体は放射化されているので、これを自動化することによって、交換作業を迅速化して被曝量を低減することに資する目的がある。また、作業員が燃料の入った原子炉ウェルから離れて作業出来るため、離隔距離にも余裕を取ることが出来る。また、定期検査時間の短縮という設備利用率向上の目的もある。 自動交換機を導入したと言っても、燃料装荷の操作は中央操作室では実施するようには造られていない。原子炉建屋5階に設けられた運転台から燃料棒を目視しながら、遠隔操作される。初装荷燃料しか圧力容器中に挿入されていない起動試験工程初期には実質的には汚染は無い状況だが、「出入りする人は必要最小限の物しか持ち込まない」という放射線管理区域としての原則を順守する形で運用されていた。自動交換機の底には水銀灯が設置されているため、炉内は燃料を殆ど装荷していなくても青く光って見えたという。なお、自動交換機の外見自体は1-3号機の5階に据えられた燃料交換用のクレーンと大差はない。 作業工程としては前半は一日24~25本のペースで装荷し、後半は装荷中の試験が減少するため一日45~50本程度のペースでの装荷となった。 CRD自動交換機の設置も本機では建設時から実施された。据付工事は起動試験期間中に行われ、再循環系のライザ管への高周波加熱による応力腐食割れ対策工事と合せ、1.5ヶ月の工期を要した。これに対して元の起動試験工程は9ヶ月であったが、下記のように試験工程を予定以上に順調に消化したため、実際には9ヶ月の予定は約1ヶ月短縮できたという。
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