炉型への評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 15:29 UTC 版)
「東京電力初の原子炉に沸騰水型が採用された経緯」の記事における「炉型への評価」の解説
原子力発電ABCではPWRの登場は1956年8月号で、その欠点を次のように指摘している。 高圧をかけて泡が生じないようにしているので原子炉容器は耐圧、腐食性に優れていなければならず、技術的に相当の困難がある 蒸気圧力が容器の製造技術に制約されるため、(連載時点では)熱効率が低くなりやすい シッピングポート発電所はPWRとして最初に開発されたサイトであるため、安全性を考慮し大幅に余裕を取っている結果、建設費が割高であり、実績を元に研究が進展すればコストは安価となると思われる 同連載に付録を付けて出版した際にはヤンキーロー原子力発電所(en)についても評価し、シッピングポートに比較して安価になっていることは認めつつ「まだとても火力と対抗できる段階に至っていない。したがって現段階では商業的採算に乗った発電とはいい難く、実用規模の試験用発電所と見るべきであろう」と評した。 PWRの将来性については「沸騰水型等に比べて、技術が確立された観があり、技術的に現段階を乗り越えるには非常な困難が伴うものと推測される」としている。 翌1956年9月にはBWRを紹介し下記のように指摘しドレスデン1号機を挙げた上で「大容量発電所用としては望ましい性質」「商業用原子力発電所として極めて有望なものの1つではあるが、今後いっそうの研究が期待される」とした。 運転操作が簡単 炉の圧力がタービンと同レベルなので圧力容器を頑丈にしなくてもよい 簡単なのに開発が遅延したのは自己制御性を持つような炉内構造(特に燃料と減速材である水の比)の設計をEBWRの開発等を通じて確認するのに時間がかかったため デメリットとしては発電機に負荷がかかるとボイド効果のため炉の出力が小さくなる タービンに炉水を導くためタービンやその他の機械に害を与えないかという心配があるが、「これについてはそれほど重要な問題ではないということが現在わかっている」と述べ、タービン建屋の放射能遮蔽設計の必要性に言及した 同連載に付録を付けて出版した際にはドレスデン原子力発電所1号機についても評価し「この発電所をわが国に建設する場合には、建設費および発電コストは更に検討されねばならないが(中略)いずれは新鋭火力発電所よりも低い建設コストでわが国のエネルギー源の一端を担う日も近いことと思われる」とした。
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