炉の反応方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 08:27 UTC 版)
反応原理は、ウラン238(劣化ウラン)に1個の中性子を衝突させると、ある割合でウラン239(核分裂性ウラン)が生成され、それがβ崩壊してネプツニウム239に変化して、さらにβ崩壊してプルトニウム239(核分裂性プルトニウム)となる。その核分裂性のプルトニウム239に中性子が当って核分裂が生じ、その核分裂によって新たに数個の中性子が放出され、生じた中性子は周囲の反射板に当って段々と速度を落した後にウラン238やプルトニウム239に吸収されて次の反応を促し、核分裂反応が連続的に進行する。以上の過程で生成される熱エネルギーを利用するというもの。 92 238 U + 0 1 n → 92 239 U → 93 239 N p + β → 94 239 P u + β {\displaystyle \mathrm {^{238}_{\ 92}U+\,_{0}^{1}n\;\rightarrow \;_{\ 92}^{239}U\;\rightarrow \;_{\ 93}^{239}Np+\beta \;\rightarrow \;_{\ 94}^{239}Pu+\beta } } テラパワー社の資料に拠れば、冷却材に金属ナトリウムを使用するプール型の炉である。 核燃料としては劣化ウランが用いられる。劣化ウランは、核分裂性のウラン235の含有率が0.2%程度であり、大部分が非核分裂性のウラン238であるため、通常の原子炉では核燃料として使用されない。 核分裂連鎖反応の開始時には濃縮ウランを使用する。一旦連鎖反応が開始された後の通常発電状態、すなわち、定常状態においては、中性子がウラン238に衝突することで核分裂性のプルトニウム239を生み出す。プルトニウムは核分裂し、エネルギーと中性子を生み出す。なお、濃縮ウランは反応開始時のみ必要とされる。 利用済み(核分裂反応が終了した)領域が増大し、利用可能(核分裂反応が可能な)領域が減少することにより、核分裂反応が起こっている領域が徐々に移動(進行)することから、「進行波炉」という名前が付けられている。
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