潮汐減速
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 06:20 UTC 版)
これには2つの種類がある。 高速衛星 :木星型惑星の衛星の一部と、フォボスは同期軌道の内側を周回し、その周期は惑星の自転周期よりも短い。言い換えるならばそれらの衛星は惑星の自転よりも早く軌道を一周する。この場合、潮汐の膨らみは衛星より遅れてその背後にあり、これによって衛星の周回速度を減速する様に働く。その結果、衛星の軌道は螺旋を描くように惑星に近づいていき、同時に惑星の自転速度も僅かながら加速する。遠い将来には、この衛星は惑星に衝突するか、ロッシュ限界に触れて潮汐力によって破壊される。ただし、太陽系内においてこのような衛星は非常に小規模であり、これによって生ずる潮汐も小さいので、その効果は弱く、軌道はゆっくりと減衰する。この影響を受ける衛星は:地球: 国際宇宙ステーション、ハッブル宇宙望遠鏡、他多数 火星: フォボス 木星: メティスとアドラステア 土星: 該当する衛星はない。土星の輪の粒子(土星は木星の様に高速で自転しているが、充分に近い衛星を持たない) 天王星: コーデリア、オフィーリア、ビアンカ、クレシダ、デズデモーナ、ジュリエット、ポーシャ、ロザリンド、キューピッド、ベリンダ、およびペルディタ 海王星 :ナイアード、タラッサ、デスピナ、ガラテアとラリッサ 太陽が赤色巨星になった後についての仮説の中には、その表面の回転は非常に遅くなり、惑星に潮汐減速を起すだろうというものがある。 逆行衛星 :全ての逆行衛星では周回方向と惑星の自転が逆向きであり、潮汐の膨らみにより引き戻されることから潮汐減速のもとにある。前述の「高速衛星」と異なるのは、惑星の自転が早まるのではなく減速することにある(この場合には惑星の自転と衛星の周回の向きが逆であることから角運動量は維持される)。太陽系において、この効果の影響が無視できないのは海王星の衛星トリトンである。その他の逆行衛星は距離があり潮汐減速の影響は無視できる。惑星である金星の自転は逆行し、また、非常にゆっくりであることから、仮に衛星があったとしても潮汐減速の影響で衛星は遥か昔に失われ、存在しないと信じられている。
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