液体酸素/液化天然ガス (LNG推進系)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 02:25 UTC 版)
「液体燃料ロケット」の記事における「液体酸素/液化天然ガス (LNG推進系)」の解説
メタンを推進剤として使用した場合、液体酸素/ケロシン推進系と比較して比推力が10秒高く、沸点が91Kの液体酸素と近い110Kであるため、タンクの推進剤間の断熱が不要である。また液体酸素/液体水素推進系と比較して液体水素よりも密度が大きい為、タンクを小型化でき、液体水素よりも沸点が高い為、断熱が容易である。また、推進剤を供給するターボポンプの液体酸素ポンプとの断熱が不要で同軸上に配置する事が可能になり小型化が可能である。また、液体水素よりも入手が容易で廉価で充填時に気化する量が減り、扱いが容易である。また、マーズ・ダイレクトにて提案されたように火星の二酸化炭素が主成分の大気と水素からサバティエ反応によりメタンを生成することも可能である。 液体酸素と液化天然ガス (LNG) をロケットの燃料として使用する例はかつて1970年代に速度記録を樹立したブルー・フレーム等があった。一時期、LNG推進系の開発は滞っていたが、近年、各国で新たなLNG推進系の開発が進みつつある。日本ではGXロケットの上段ロケットとして開発が進められ、2009年7月にLE-8の燃焼試験が成功裡に完了した。アメリカでも計画が中止されたコンステレーション計画において当初、月面着陸機にメタンを燃料とするエンジンの搭載が検討され、2007年にはNASAの支援を受けたXCOR社で燃焼試験に成功した。スペースX社では現在フルフロー二段燃焼サイクルのラプターを開発中である。ブルーオリジン社ではBE-4を開発中である。ロシアとヨーロッパでもVOLGAエンジンを共同開発中である。韓国では2008年にC&Space社がロシアとの技術協力のもと推力10トンのLNGエンジンであるCHASE-10の開発に成功した。
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